北海道の東部、豊かな自然に恵まれた十勝地方の中心都市・帯広市。その緑ヶ丘公園の一角に、帯広百年記念館は佇んでいる。1982年に開館したこの博物館は、十勝の歴史、自然、文化を総合的に紹介する複合施設だ。
館内に入ると、まず目に入るのが1階のナウマンゾウの大型模型。なかなかの迫力である。
開拓の歴史を辿る
静岡県士族出身の晩成社の依田勉三
明治時代の十勝開拓
明治時代、十勝は北海道の中でも特に厳しい自然環境と、アイヌ民族との複雑な関係性を持つ未開拓地であった。しかし、明治政府による積極的な開拓政策と、多くの開拓者たちの努力によって、十勝は豊かな農業地帯へと発展していく。
開拓の始まり
十勝の開拓は、明治2年(1869年)に開拓使が設置されたことに始まる。開拓使は、十勝川河口に大津役宅を設け、役人を派遣し、十勝の調査と開拓事業を開始した。
当初、十勝の開拓は困難を極めた。厳しい自然環境、アイヌ民族との文化の違い、物資不足など、多くの問題が立ちはだかった。しかし、開拓者たちは不屈の精神でこれらの困難を乗り越え、徐々に十勝の開拓を進めていった。
開拓の進展
明治10年代になると、政府による屯田兵制度の導入や、民間開拓会社の設立により、十勝の開拓はさらに加速していく。屯田兵は、兵士としての任務を担うと同時に、農地を開墾し、農業を営む役割を担った。民間開拓会社は、資本力と技術力を活かして、大規模な農地開墾を進めた。
これらの努力により、十勝には多くの農地が生まれ、小麦、豆類、甜菜などの農作物が栽培されるようになった。また、酪農も盛んになり、十勝は北海道屈指の酪農地帯へと発展していく。
アイヌ民族との関係
十勝の開拓は、アイヌ民族の生活にも大きな影響を与えた。アイヌ民族は、従来の生活様式を大きく変えざるを得なくなり、多くの苦難を経験した。
しかし、政府はアイヌ民族の生活保護にも取り組み、教育や医療の提供、アイヌ文化の保存活動などを行った。また、アイヌ民族自身も積極的に新しい社会に適応し、様々な分野で活躍していく。
明治時代における十勝開拓の意義
明治時代の十勝開拓は、北海道の近代化に大きく貢献した。厳しい自然環境とアイヌ民族との複雑な関係性を持つ未開拓地であった十勝を、豊かな農業地帯へと発展させたことは、日本の歴史上における大きな功績と言えるだろう。
また、十勝開拓は、多くの開拓者たちの努力と忍耐によって成し遂げられたものである。彼らの精神は、現代社会においても重要な価値として受け継がれている。
晩成社について
晩成社は、明治時代初期に北海道十勝の開拓に大きく貢献した民間開拓会社である。晩成社は、明治15年(1882年)に静岡県士族の依田勉三らによって設立された。依田勉三は、北海道の開拓に大きな可能性を感じ、自ら開拓会社を設立して十勝の開拓に挑むことを決意した。
十勝への入植
晩成社は、明治16年(1883年)に十勝川河口に上陸し、現在の帯広市街地となる場所に最初の開拓地を建設した。その後、数年間で約200人の入植者を迎え、農地開墾や酪農、畜産業などの事業を展開した。
晩成社の功績
晩成社は、十勝の開拓において以下のような功績を残した。
- 十勝川河口の開拓
- 帯広市街地の形成
- 農地開墾
- 酪農、畜産業の導入
- 道路、橋梁などのインフラ整備
- 学校、病院などの公共施設の建設
- 晩成社の活動は、十勝の近代化に大きく貢献した。
晩成社のその後
晩成社は、明治34年(1901年)に解散した。しかし、晩成社によって開拓された十勝は、その後も豊かな農業地帯へと発展し、現在では北海道を代表する地域の一つとなっている。
豊かな自然との関わり
十勝は、雄大な日高山脈と広大な平野、そして湿原など、多様な自然環境を擁していた。常設展示では、これらの自然環境を写真や映像、動植物の標本を用いて紹介。十勝川や支笏湖などの水資源、農業や酪農などの産業についても学ぶことができる。
創造性を育む空間
2階には、陶芸、音楽、演劇、絵画、木彫、舞踊などの練習会場として利用できる創造活動センターがあり、地域住民の創作活動の拠点として、様々な講座やワークショップが開催されている。
特別展やイベントも充実
常設展示以外にも、年間を通して様々な企画展やイベントが開催。十勝ゆかりの美術展や歴史展、科学展など、幅広い内容の展示が楽しめる。また、講演会やコンサート、体験プログラムなども充実しており、何度訪れても新しい発見がありそうだ。
緑ヶ丘公園で一日中楽しむ
帯広百年記念館は、緑ヶ丘公園の中にあります。公園内には、帯広市立美術館、動物園、児童会館、野草園などがあり、一日中楽しめるスポットでもある。春には桜、夏には緑、秋には紅葉、冬には雪景色と、四季折々の自然を満喫することができる。
帯広百年記念館は、北海道・十勝の歴史、自然、文化を体感できる貴重な施設である。
施設情報
住所: 北海道帯広市緑ヶ丘3丁目2-1
開館時間: 9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日: 月曜日、祝日の翌日(ただし翌日が土曜日・日曜日の場合は開館)、年末年始(12月29日~1月3日)
入館料: 大人300円、小人(中学生以下)無料
アクセス: JR帯広駅から車で約10分、バスで約15分
https://museum-obihiro.jp/occm/
帯広百年記念館は、帯広・十勝の歴史、自然、文化について学ぶことができる施設。
デジタルアーカイブ
https://obihiro140.jp/archives.php
帯広百年記念館が所有する歴史資料(写真・古文書など)のデジタルデータを閲覧できる。