富内銀河ステーションで泊まる、8月の連休中日の夜

2025年8月の連休中日、新冠温泉でノマドワークする予定を急きょ変更。
「電源あり・通信OK・宿泊可・風呂近く」──仕事ができる!条件が揃った富内銀河ステーションへ直行した。
到着すると、廃線のホームと保存車両が夕暮れに浮かび、時間が止まったような静けさに包まれていた。
富内銀河ステーションについて

富内銀河ステーションは、北海道むかわ町穂別富内に位置する旧国鉄富内駅の跡地で、廃線後も駅舎・ホーム・線路が完全保存された国内でも珍しい歴史的施設である。

歴史的背景として、この駅は1923年(大正12年)11月11日に北海道鉱業鉄道金山線の駅として「辺富内駅(へとないえき)」の名前で開業した。
当初の駅名はアイヌ語の「ケッオナイ(ket-o-nay)」(毛皮の張り枠・がある・川という意味)に由来しており、後に「辺」を除いて「富内」と改称された。
1943年(昭和18年)に戦時買収により国有化され、1986年(昭和61年)11月1日に富内線廃線とともに63年間の歴史に幕を閉じた。
運営時代の役割は非常に重要で、周辺地域から産出されるクロム鉱石、木材、薪炭などの輸送ターミナルとして機能していた。
昭和20年代の駅構造は単式ホーム1面4線を有し、蒸気機関車のための石炭庫、給水塔、機関庫が整備され、C11形蒸気機関車が12-13両にも及ぶ貨車と客車を牽引する一大拠点駅であった。
北のイーハトーブを目指す
廃線後の展開で特筆すべきは、1986年の富内線廃線後に地域住民が「銀河鉄道の里づくり委員会」を組織し、宮沢賢治の理想郷「イーハトーブ」を目指した地域づくりを始めたことである。

戦後まもない頃から穂別村の村長が宮沢賢治の世界観による村づくりを構想しており、この精神を受け継いで「ほべつ銀河鉄道運動」が展開された。
銀河ステーションの由来
「銀河ステーション」の名前の由来は、宇宙飛行士の毛利衛さんのアイデアにより、駅の側線を空に向けて改造し、宇宙へと続くレールを表現したことにある。

この天空に向かうレールのモニュメントが「銀河鉄道999」を彷彿とさせることから、松本零士さんとの縁も生まれた。
文化財としての価値も高く、2001年(平成13年)9月14日に国の登録有形文化財に指定され、駅舎、プラットホーム、線路など駅全体が保護されている。

映画「鉄道員(ぽっぽや)」の備品
映画「鉄道員(ぽっぽや)」の撮影では、当駅から備品が貸し出されるほど当時の状態が良好に保たれている。
また、ホームには国鉄旧型客車のスハ45形とオハフ33形の2両が静態保存され、富内線の写真パネル展示場として活用されている。

ロケ地で使われた幾寅駅(南富良野)のフォトギャラリーはこちらからどうぞ!

宿舎としての活用
現在の活用としては、駅前のふじ屋商店で手続きをすれば客車内での宿泊も可能(500円)。
また、週4日間は近くの富内生きがいセンターで入浴(300円)もできる。
廃線から約40年が経過した現在でも、北海道の鉄道遺産として、また宮沢賢治の世界観を体現する観光地として多くの人々に愛され続けている。

基本情報
富内銀河ステーションFAQ
利用・見学について
Q: 富内銀河ステーションは予約なしで見学できますか?
A: 屋外施設のため基本的に予約は不要です。24時間自由に見学できますが、客車内宿泊を希望する場合は事前に元ふじや商店(0145-46-6212)への連絡が必要です。
Q: 見学料金はかかりますか?
A: 見学は無料です。ただし、客車内での宿泊を利用する場合は500円の料金がかかります。ふじ屋さんにお支払いください。
Q: 車でのアクセスは可能ですか?
A: はい、駐車場が完備されており、札幌から約130分でアクセス可能です。カーナビでは「むかわ町穂別富内81番地1」を設定してください。
宿泊について
Q: 客車での宿泊はどのように予約しますか?
A: 駅前のふじ屋商店で手続きを行います。事前に電話(0145-46-6212)で空き状況を確認してから訪問することをおすすめします。宿泊料金は500円です。
Q: 入浴施設はありますか?
A: 近くの富内生きがいセンターで入浴可能です(300円・週4日営業)。利用前に営業日を確認してください。
施設・歴史について
Q: どのような歴史がありますか?
A: 1923年に「辺富内駅」として開業し、1986年に富内線廃線と共に役目を終えました。現在は国の登録有形文化財(2001年指定)として保存されており、宮沢賢治の世界観を体現する「銀河ステーション」として親しまれています。
Q: 「銀河ステーション」の名前の由来は?
A: 宇宙飛行士の毛利衛さんのアイデアで駅の側線を空に向けて改造し、宇宙へと続くレールを表現したことから「銀河ステーション」と呼ばれるようになりました。
Q: どのような見どころがありますか?
A: 天空に向かう側線レール、国鉄時代の駅舎・ホーム・線路の完全保存、旧型客車の静態展示、富内線の写真パネル展示などがあります。映画「鉄道員(ぽっぽや)」の撮影にも協力した貴重な鉄道遺産です。
周辺情報
Q: 近くに他の観光スポットはありますか?
A: 駅から約170mの場所に聖観世音菩薩像(賢治観音)があります。むかわ町穂別地区には恐竜化石関連の施設なども点在しています。
Q: 食事はどこでできますか?
A: 駅周辺は過疎地域のため、食事は事前に準備するか、車で移動可能な範囲の飲食店を利用することをおすすめします。
Q: 冬期の見学は可能ですか?
A: 屋外施設のため冬期も見学可能ですが、北海道の厳しい冬の気候を考慮し、防寒対策を十分に行ってからお越しください。
お問い合わせ・注意事項
Q: 問い合わせ先は?
A: 元ふじや商店(0145-46-6212)までお問い合わせください。宿泊や施設利用に関する詳細な情報を提供いたします。
Q: 注意すべき点はありますか?
A: 歴史的価値のある文化財のため、施設を大切に扱ってください。
Q: 携帯電話・インターネットの電波状況はどうですか?
A: 富内橋周辺の大型電波塔の影響で、au系回線(povo含む)では良好な通信環境が期待できます(2025年8月実測値:下り43Mbps、上り14.2Mbps)。ただし、キャリアによって電波状況が異なる可能性があるため、車中泊やワーケーション予定の方は事前に各キャリアの電波エリアマップで確認することをおすすめします。
Q: 食事や買い物はどこでできますか?
A: 駅周辺は過疎地域のため、食事・買い物施設は限られています。車中泊をされる方は事前に食料や必要な物資を準備してからお越しください。最寄りのコンビニや飲食店までは車での移動が必要です。
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