赤い光に誘われて、我が家へ
2025年7月24日
20時20分、平山旅館で日帰り湯を楽しんだ後、目の前に「スナック我が家」の看板が見えた。赤い光が入口から漏れていて、これが妙に呼び込む。もう入るしかないやん。
初めての店で聞いた“ゆるすぎる”システム
扉を開けると、予想していた厚化粧のおばさんではなく、70歳のイケオジが「いらっしゃい」と出迎えた。
初めての店なので「システムは?料金は?」と尋ねると、「え?システム?飲んだ分だけ」とあっさりした返事。普通スナックなら2時間4000円とかあるやん。さらに「ボトルキープしないといけないですか?それともハウスボトルありますか?」と聞くと、「どっちでも」とこれまたつれない。
一応ボトルキープのメニューを見せてもらったが、ええ酒(高い酒)しかなく、結局ショットで飲むことにした。地元のバイト娘も、厚化粧のおばさんもいないのなら、スナックというよりカラオケできるバーかパブに名前変えてーや(笑)。
気温の話から消えた年金問題へ
鹿追の夜の気温は少し落ち着いた――この日は日中の最高気温が38.8度という記録的な暑さだった。そのせいか、最初の会話はやはり天気と気温の話から始まった。
やがて、元建設会社勤めだったという経歴がぽろりと出る。そこから話は急カーブを描き、「消えた年金」の話へ。
サラリーマン時代、会社が年金の支払いをベース10万円に設定していたらしい。本人はその事実を、受け取りのとき初めて知ったという。「それはもう、びっくりですよ」とマスターの目が一瞬だけ遠くを見た。
拓銀破綻と通帳の行方
話は北海道の金融史へ。拓殖銀行破綻のときの出来事が、この年金話につながっていた。当時の通帳や給与明細を持っていれば、年金が増えるチャンスもあったらしいが、「昔の通帳なんか残ってへんやろ」と笑うマスター。確かに、引っ越しやら何やらで紙の通帳はまず行方不明になる運命だ。
一夜の勘定
角ハイボールを2杯、マスターはビールを一杯。会話は熱く、でも店内は静かで、赤い照明が時間をゆっくりにしていた。勘定は3,400円。高いか安いかは、この夜の濃さを知る人だけが判断できる。
旅の裏側には、観光ガイドには載らない人間模様がある。たまたま入ったスナックで聞いた年金の裏話も、その土地の歴史や空気を映す小さな断片だ。湯上がりの一杯と、70歳のイケオジが語る「消えた年金問題」。これもまた、鹿追の夜の一景である。
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