北海道・釧路湿原。夢ヶ丘展望台で迎えた息をのむ朝の絶景と、思わず笑ってしまうほど悔しかった「10秒遅れで4時間待ち」の列車体験──。この記事では、実際の体験談をもとに、釧路湿原の魅力や観光のポイント、よくある質問までまとめました。次の旅の参考にしてください。
夢ヶ丘展望台の朝|凍える夜から絶景へ
タッコブキャンプ場での一夜
夜中、寒さに耐えきれず、3時にテントから車内へ避難していた。外は氷のように冷たく、毛布をかぶっても足先が凍えた。そんな夜を越え、5時に達古武キャンプ場で目を覚ました頃、空は晴れわたり、冷えた空気が肺にしみた。

夢ヶ丘への急階段と胸突き八丁
5時半に夢ヶ丘展望台を目指して出発。途中、東屋に着いたのは5時50分。木の階段を一歩ずつ踏みしめる。朝の木漏れ日が差し込む……「これぞ夢ヶ丘の洗礼やな」と心の中でつぶやく。

最後の坂道はまさに胸突き八丁。太ももが悲鳴を上げ、息が切れる。その静けささえ心地よく、ひたすら足を運んだ。

去年は霧、今年は快晴の夢ヶ丘の絶景の先で乾杯
6時10分、夢ヶ丘展望台に到着。

去年は霧で真っ白だったのに、今日は最高の景色が広がっていた。思わずゆずサワーのノンアルで乾杯。


「素晴らしい」とつぶやいて「お疲れ様です」と挨拶してくれた、リュックと三脚を担いだ男性が印象的だった。
釧路湿原ノロッコ号を撮影されるのだろう。
滞在目安:30〜45分
湖の鹿と、キャンプ場の陽だまり
湖で水草を食べる鹿との出会い
下山して7時頃キャンプ場に戻ると、鹿が湖の中で水草を食べていた。水面に映るその姿が神秘的で、しばらく見入ってしまった。

毛布とN3Bを干す天日干し大会
7時45分、陽がすっかり昇り、さっきまでの寒さが嘘のように暑くなっていた。コットの上に広げた毛布やN-3Bが太陽の光でどんどん乾いていく。早起きのご褒美のような時間だった。


滞在目安:30分
釧路湿原駅で逃した10秒
道ばたの看板に「釧路湿原駅」の文字が目に入った
達古武湖沿いの道を走りながら、細岡展望台を目指していた。右手の湖面がきらきらして、水鳥が横切る。そんな風景に見とれていた時、道ばたの看板に「釧路湿原駅」の文字が目に入った。
スマホで調べると、なんと5分後に釧路駅行きの列車が出るらしい。
「無人駅から列車に乗るなんて、旅っぽいやんか。」
そう思った瞬間、体が勝手に動いていた。車を止め、カメラを持って走り出した。
駆け抜けて間に合わなかった列車
道を間違えて200m戻り、踏切が見えた時には警報音が響き、列車が目の前を通過していった。あと10秒早ければ……。
ホームでしゃがみ込み、去っていく列車の背中をカメラに収めるしかなかった。

無人駅の静けさと、胸に残った景色
無人駅に立つと、風が草を揺らす音だけが聞こえた。悔しさよりも、不思議と「いい時間やな」という気持ちがこみあげた。

滞在目安:15〜30分
細岡展望台で見た広がる湿原と鶴
展望台の上では、胸いっぱいに湿原の空気を吸い込んだ。望遠鏡をのぞかせてくれたボランティアの女性が、遠くの丹頂鶴を見せてくれた。

——「あの時、列車に乗れなかったのも、また旅やな」
そんな言葉が自然に浮かび、深呼吸した。


滞在目安:30分
旅は続く、帯広へ
細岡ビジターズラウンジでTシャツとコーヒーフロートを買い、帯広へ向かう。カレーと星空が待つ夜のために。



釧路湿原の基本情報と楽しみ方
場所と歴史
北海道釧路市、釧路町、標茶町、鶴居村にまたがる日本最大の湿原。ラムサール条約にも登録され、国立公園に指定されている。
季節ごとの魅力
- 春:新緑と野鳥のさえずり
- 夏:青々とした草原と野生動物
- 秋:金色の草原と澄んだ空気
- 冬:真っ白な雪景色とタンチョウ
概要
項目 | 内容 |
---|---|
名称 | 釧路湿原国立公園 |
面積 | 約28,788 ha(東京ドーム約6,150個分) |
所在地 | 北海道 釧路市、釧路町、標茶町、鶴居村 |
ラムサール条約登録 | 1980年(日本初) |
国立公園指定 | 1987年 |
釧路湿原は日本最大の湿原であり、タンチョウやオジロワシをはじめとする多様な生き物が暮らす貴重な自然環境です。大部分は保護され、手つかずの風景が守られています。
主な見どころ・展望台
施設名 | 特徴 | アクセス目安 |
---|---|---|
細岡展望台 | 釧路川の蛇行と夕日の名所 | 釧路駅から約40分 |
釧路市湿原展望台 | ヤチボウズを模した建物&遊歩道 | 釧路駅から約30分 |
温根内ビジターセンター | バリアフリー木道&動植物解説 | 湿原展望台から約5分 |
コッタロ湿原展望台 | 原始的景観が残る穴場スポット | 標茶町市街地から約30分 |
主なアクティビティ
アクティビティ | おすすめシーズン | 特徴 |
---|---|---|
カヌー体験 | 5月〜10月 | 川を下りながら動植物を観察 |
くしろ湿原ノロッコ号 | 4月下旬〜10月上旬 | トロッコ列車で湿原を一望 |
木道散策 | 4月〜11月 | 湿原の植生を間近で観察 |
バードウォッチング | 通年 | タンチョウや野鳥観察 |
アクセスガイド
公共交通機関
- JR釧路駅 → 湿原展望台(西側)/阿寒バス:約45分
- JR釧路駅 → 釧路湿原駅(東側・細岡展望台)/JR釧網本線:約20分
- たんちょう釧路空港 → 湿原展望台(西側)/バス乗換:約1時間30分
自動車
- たんちょう釧路空港 → 湿原展望台:約20分
- 釧路市街地 → 湿原展望台:約30分
- 釧路市街地 → 細岡展望台:約40分
おすすめルート例
- 半日コース:釧路駅 → 湿原展望台 → 温根内ビジターセンター
- 東側じっくりコース:釧路駅 → 釧路湿原駅 → 細岡展望台
夢ヶ丘展望台からノロッコ号を撮影するには
夢ヶ丘展望台から釧路湿原ノロッコ号を撮影したい場合は、時刻表の確認が重要です。列車が通過するのは午前中から夕方にかけてで、釧路駅発と塘路駅発の時間帯によって通過タイミングが変わります。
- ノロッコ号運行区間:釧路駅〜塘路駅
- 2025年の運行期間:7月1日〜9月7日、11日〜15日
- 撮影ポイント:釧路駅発か塘路駅発かで狙う時間を決める
- 時刻表:JR北海道の公式サイトや駅で要確認
- 見どころでは徐行や停車があり、撮影チャンスが増える
- 運が良ければ野生動物の姿も一緒に写せるかも
ノロッコ号は観光列車なので、撮影のタイミングが合うとより印象的な写真が撮れます。夢ヶ丘からの景色と合わせて、ぜひ狙ってみてください。
まとめ
釧路湿原は、物語のような体験と、日本最大級の大自然が共存する特別な場所です。
体験談で綴った朝の感動と、基本情報で描いた訪れ方を参考に、ぜひ自分だけの一歩を踏み出してみてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 夢ケ丘展望台は3歳の子供を連れて行けますか?
A. 夢ケ丘展望台は、最後の約200mに階段が続きます。3歳のお子さんには少しきついかもしれませんが、手前までの森林浴の道は歩きやすく、自然を楽しむのにおすすめです。
Q. 釧路湿原を訪れるベストシーズンはいつですか?
A. 夏は湿原全体が緑に輝き、野生動物も活発になる6〜8月がおすすめです。冬は白銀の世界の中でタンチョウが見られるなど、四季それぞれの魅力があります。
Q. 釧路湿原で鹿やタンチョウに出会えるスポットはありますか?
A. 細岡展望台や温根内ビジターセンター周辺が比較的遭遇しやすいです。早朝や夕方が特におすすめです。
Q. ノロッコ号のチケットは当日でも買えますか?
A. 当日券もありますが、夏の観光シーズンは混雑するので事前予約がおすすめです。JR北海道の公式サイトで予約可能です。さらに、晴れた日には夢ヶ丘展望台から走るノロッコ号を眺めるのもおすすめ。列車と湿原の絶景を同時に楽しめます。
Q. 車がなくても釧路湿原を楽しめますか?
A. はい、JR釧網本線やバスを使えば、主要な展望台や観光スポットへアクセス可能です。駅から徒歩圏内のスポットもありますが、本数が少ない場合があるので時刻表は要チェック。実際、10秒遅れて4時間待ちになったこともあります。
Q. カヌーツアーに参加したいのですが、予約は必要ですか?
A. 基本的には事前予約が推奨されます。特に夏場は満席になることも多いため、早めの予約がおすすめです。当日受付可能な場合もあります。料金の目安は大体8,000円〜10,000円ほど(2025年6月時点)です。
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