石の家
黒板五郎のお墓
黒板五郎は昭和の男だった
文明に頼らず金に頼らず
家族を守りきり
原野を駆け抜けた
純と蛍を連れ、故郷麓郷の電気も水道もない廃屋に住みつくことから始まりました。
生まれたときから文明の中にどっぷりつかった今の子供たちが自然の中で生きるということの原点に触れたとき、どのように考え、どのように育つか、そのことを見極める一つの実験をこの作品で試みたいと思いそして現在も続いています。
この石の家は五郎がこの界隈の畠からあふれ出て始末に困っている石の山にふと気づき、その石を拾っては一個づつ積みあげ三年がかりで建てあげた家です。
現在五郎が独りで住んでおりますのでプライバシーを妨げめようお願いいたします。
1996年初夏
倉本 聰