【富内銀河ステーション】引退ジムニー4兄弟 ― 顔で語る4つの物語

錆びたトタン屋根の前に並ぶ3台のスズキ・ジムニー。黒、黒、白の順で、いずれも長年の風雪に耐えた風
目次

ジムニー3兄弟とパジェロミニ

前回お伝えした「引退ジムニー4兄弟」。
今日はその翌日の様子と、もうひとつの発見をまとめておきたい。

前回の話はこちらから↓

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朝の富内銀河ステーション。

昨日と同じく4兄弟は整列していたが、一番右端、、、一見ジムニーに見えるその車体、近づいてみると実は三菱パジェロミニ。

富内銀河ステーション前、引退ジムニー4兄弟
廃車になっても、仲間と並ぶ。富内のジムニーたち。一番右はパジェロミニだった。

しかも、フロントには堂々たる赤い除雪ブレードが構えている。

丸目2灯の表情はどこか愛嬌があって、ジムニー兄弟の中に混ざっても違和感はない。
けれど、その武骨なブレードは「冬の現場で鍛えられた証」を物語っている。

道が去ったこの場所に、雪を押しのけて道を切り開く車――それもまた、この地のもうひとつの“働く顔”なのだ。

立場も役割も違うけれど、どれもここで過ごした時間の濃さが、ボディの傷や錆に刻まれている。

1台ずつ、その顔つきと物語を掘り下げてみた。

長男 ― これがジムニーだ!

岩場の前に停まる黒いジムニー。ボンネットが大きく凹み、フロント周りに損傷が見られる。
岩肌のような傷跡を刻み、静かに余生を送る黒いジムニー長男。

ボンネットは大きくえぐられ、前方のバンパーも骨組みがむき出しだ。

横に回れば、ドアは外され、剥き出しになった室内がそのまま時を止めている。

それでも、この隊長格のジムニーは、不思議と背筋を伸ばして立っているように見える。

「まだ走れるぞ」と、声なき声をこちらに送ってくるかのようだ。

運転席側のドアが外され、車内がむき出しになった黒いジムニー。
ドアを外され、まるで開放的な横顔を見せる長男。戦い抜いた戦士の休息。
正面から見た黒いジムニー。左右のライトやバンパーに損傷が残る。
真正面からの視線は力強く、傷跡さえも誇りに変える長男の表情。

次男 ― 静かに眠る黒いジムニー

富内銀河ステーションに並ぶ黒い初代ジムニー。正面に木の板が立てかけられている。
富内銀河ステーションの一角、正面から静かに佇む黒いジムニー。

フロントには無造作に立てかけられた一本の木板。まるで通せんぼをしているかのようで、近づく者を試す門番のようにも見える。

正面からのぞくと、丸目のヘッドライトはまだ澄んだ光をたたえている。隣の仲間たちが錆や傷を刻んでいる中、この個体は比較的穏やかな時間を過ごしてきたのだろう。

横から見ると、ボディの黒が朝露に濡れて鈍く光る。年季は入っているが、足元のタイヤはまだ力強さを残しており、「まだ俺はいける」と静かに主張しているようだ。

周囲には同じ世代のジムニーたちが並び、それぞれに刻まれた物語を背負っている。

その中でこの一台は、まるで老練な番人のように、木板を盾にしながら次の出番を待っているのかもしれない。

富内銀河ステーションの黒いジムニーを斜め前から撮影。背景には白いジムニーも並ぶ。
斜め前から見た黒いジムニー。その奥にも仲間たちが並んでいる。
黒いジムニーの正面アップ。グリル中央にはスズキのエンブレム。右側に木の板が立てかけられている。
スズキのエンブレムが光る正面アップ。引退してもなお風格が残る。

三男 ― 無口な影の功労者はヘッドライト不在のまま、次の旅を待つ

富内銀河ステーションに並ぶ白いジムニー。フロントパネルが外され、内部構造がむき出しになっている。
顔を外され、骨格だけで立つ白ジムニー。静かに、しかし誇らしげに過去の旅を見送っている。

ボンネット中央のエアスクープは健在だが、顔の要であるヘッドライトは両方とも外され、まるで「眼鏡を外して昼寝中」のような表情だ。

近寄ってみると、ボディの縁には錆が浮き、ホイールハウスは長年の風雪に耐えた証を刻んでいる。

しかし、足元にはまだ張りのあるタイヤ。下回りには雪国仕様のアタッチメントが残り、除雪車としての現役時代を物語っていた。

このジムニーが最後にエンジンをかけたのはいつだったのか。

いずれにしても、この佇まいが放つ郷愁は、エンジン音よりも長く胸に響く。

錆と苔が混じるボディの白ジムニー。横からの姿に歴戦の跡が刻まれている。
錆も苔も、冬を越えてきた証。横顔に刻まれた時間が、この長男の勲章だ。
ヘッドライト部分が空洞になった白ジムニーの正面。除雪用アタッチメントが前部に装着されている。
冬の道を切り開いてきた証――除雪アタッチメントとともに、今も前を見据える。

番外編 ― 除雪戦士パジェロミニ

除雪ブレードを装着したグリーンのパジェロミニ、正面からの姿
富内銀河ステーション前に停まる、冬の頼れる相棒パジェロミニ。正面から見える赤い除雪ブレードが存在感を放つ。

ジムニーにそっくりの顔つきで並んでいた“もう一人”。

三菱パジェロミニ、その鼻先には巨大な赤い除雪ブレード。

冬の朝、まだ暗いうちから雪を押し、道を切り開いてきた姿が目に浮かぶ。

その武器を誇らしげに構える姿は、まさに冬の現場のヒーローだ。

赤い除雪ブレード付きパジェロミニ、斜め前方からの撮影
冬の雪道を切り開いてきた証のような除雪装備。斜め前から見ると、頼もしいシルエットが際立つ。
除雪ブレードを備えたパジェロミニの前方右側面
作業を終えてひと休みするかのように佇むジパジェロミニ。青空の下、サビもまた歴史の一部。
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