【北海道#14-6】千春の足跡と鹿肉バーガーとクリオネキャンプ場(足寄・陸別・斜里)

木のカウンターに置かれた北海道限定の知床流氷サイダーと、包み紙に包まれたご当地バーガー。窓の外には緑の木々が広がる。
なりさん

ヌプカの里で迎える星空の朝から十勝・陸別へ214kmを走破。松山千春の故郷、足寄での心の交流、そして陸別の道の駅での高速Wi-Fiノマドワーク。トプシの滝のアブとの遭遇から、猿回しとの出会い。そして斜里のライダーズハウスで北海道の大自然と繋がる、旅人ワーカーのリアルな移動と内省の記録。
よければ、一緒に旅気分を味わってみてください。

ヌプカの里〜道の駅上士幌〜道の駅あしょろ銀河ホール21〜トプシの滝〜道の駅オーロラタウン93りくべつ~道の駅メルヘンの丘めばんべつ~天に続く道Heaven cafe~ビックマートみたに しゃり店~クリオネキャンプ場(斜里)

目次

白樺の朝陽と千春の足跡、そしてノマドの机

2025年夏の北海道車中泊の旅(Part14)
6日目:2025/07/22 運転時間:約5時間5分 走行距離:約214km

ヌプカの里、星空と風のキャンプ場

ヌプカの里で迎えた朝。朝日が山の斜面をやさしく照らし、深い緑がしっとりと浮かび上がる。右手には白い軽バンが停まり、静かな車中泊の朝を物語っている。
ヌプカの里の朝。静かな一日のはじまりを告げていた。

3時半起床。まだ空は藍色で、朝日が雲の奥から少しずつ表情を変えていくのを眺めながら、4時には撤収作業に入った。

昨夜は、あの満天の星に見惚れた。数えきれない星が天に吸い込まれていくような夜。

時折、突風が吹いてテントが飛ばされそうになる。

その風の音が、虫の羽音と重なって、自然の中にいるという実感を深めてくれた。

昨日、虫と格闘したアヒージョ風ステーキの油が体に残っていてギトギト。

まずは風呂か、サウナか。いや、その前にコーヒーを飲みながら考えたい。

今日のはじまりは、そのくらいの余白を持ってスタートするのがいい。

ヌプカの里の詳細はこちら▼

あわせて読みたい
【北海道・士幌高原】ヌプカの里で一人キャンプ、星と虫と風の夜 ヌプカの里の基本情報はこちら 500円の静けさと、星空の予感 ヌプカの里に並ぶコテージと遊具施設。 帯広の平野部から離れ、標高600mの士幌高原を目指す。この日のキャ...

白樺の朝日と一本道、上士幌への爽快な走り

しほろで「新田小学校」の看板を見つけたとき、思わず車を停めて撮影した。

大学時代の先輩の名前と同じだった。今は会津若松に移住してる人。

その場で写真を送って、何気ないけど何か通じ合うようなLINEになった。

北海道・士幌町にある「新田小学校」の看板。白地に青い文字で校名が書かれ、赤い矢印が進行方向を示している。背後には大きな針葉樹が並び、夕方の光が差し込んでいる。
「新田小学校」の看板を見て、
大学時代の先輩の名前がふっと浮かんだ。

道はまっすぐ、時間はゆっくりと流れている。上士幌のセブン-イレブンでホットコーヒーを買って、車に戻る。

口に運ぶたびに冷たい空気と熱い液体が交差して、旅の朝がじんわりと染みてきた。

337号線を北上し、白樺の間から差し込む朝日の光。幻想的という言葉すらもこぼれてしまう美しさ。

白樺並木の間から朝日が差し込む一瞬。まぶしい光が木々の影を照らし、遠くには静かな森が広がっている。337号線沿い、夏の北海道の早朝。
337号線を北上する朝。白樺の間からこぼれる光。

足寄の旧駅舎で、動かぬ女性と刻まれた足跡

北海道足寄町にある「道の駅あしょろ 銘酒ホール21」の外観。円形のエントランスと白い外壁が特徴的で、自動販売機が並び、青空の下に立つ堂々とした建物。
道の駅あしょろ「銘酒ホール21」。

6時10分、道の駅あしょろ銀河ホール21に到着。ここはRVパークもあるし、スーパーフクハラも裏にあるし、設備的にも整ってる。

そして何より、松山千春の故郷。

「足寄駅」と書かれた建物に入ると、線路を向いて座るご年配の女性が一人。まったく動かない。

最初、駅舎に設置された人形かと思ったほど。でも、ほんまの人やった。微動だにせず、ずっと線路を見てる。何を想ってたんやろか。

足寄という地名にちなんで作られた足型モニュメントたち。足を寄せて、記憶を残していく。

道の駅あしょろ銀河ホール21前に並ぶ多数の足形タイル。緑色のタイルに人々の足跡が型押しされ、金属プレートで名前が刻まれている。
道の駅あしょろ銀河ホール21の前庭に広がる足跡タイル。
町ゆかりの人々の足形が整然と並び、訪れる人々を出迎える。

大空と大地の中で……その歌碑には千春さんの手型と足型が埋められている。

緑のボタンを押したけど、曲は流れなかった。

音じゃなくて、想いを受け取った気がした。

道の駅あしょろでのできごとの詳細はこちら▼

あわせて読みたい
【足寄】道の駅あしょろ銀河ホール21の松山千春さんの足跡の謎 真っ直ぐな道と北海道の朝 北海道の朝は、5時台でも空がすっきり澄んでいる。 国道274号線を足寄に向かって走ると、真っ直ぐな道と冷たい風が、ドリップしたてのコーヒ...

陸別、駅舎が呼吸する町でノマドワーク

7時48分、陸別町に入る。途中の「トプシの滝」は雑草が生い茂っていて、人の気配もなく、アブがすごくて長居できなかった。

8時、道の駅オーロラタウン93りくべつに到着。銀河鉄道999の車両、サイロ、そして南極雪上車が迎えてくれる。

Wi-Fi速度は下り187mbps、上り16.1mbps。電源も各席にしっかり用意されていて、USB-A、USB-C、コンセントまで完備。

ここでノマドワーク開始。仕事の隣で、年配の女性旅行者がひとり、イヤホンで何かを口ずさんでいる。顔を上げたとき、そっと笑顔で会釈してくれた。

風が当たってなかったので、そっと扇風機の向きを変えると、静かにうなずいてくれた。

それ以上、言葉は交わさなかった。駅が呼吸しているように、人の記憶もこの町でそっと息をしている。

知床の青空と、おあずけプリン

10時40分、車内の熱でスマホの反応が鈍くなるほどの気温。駐車場に停めた車内で、先程、道の駅りくべつで買った「おあずけプリン」を開ける。

プレーンとカボチャ、どっちもうまい。プレーンは昔のプリンアイスを思い出させてくれるノスタルジーの味。カボチャは新鮮な驚き。やるな陸別。

これからの仕事場、クリオネキャンプ場に電話してモバイルテントを予約した。

道中、日本甜菜製糖株式会社の美幌製糖所に立ち寄る。

帯広のビート資料館の館長がつい最近までここにいたと聞いていたので、ちょっと挨拶がわり。

今は誰もいなかったが、縁の場所を踏むのはなんとなく気持ちが引き締まる。


女満別の道の駅

正午に大空町に入り、12時10分には道の駅メルヘンの丘めまんべつへ。猿回しをやっていて、観客も演者も炎天下。見てるだけで汗が出る。

アンテナショップでプチトマトを買い、流氷ドラフト、ゴールデンエールもゲット。

272号線を走り、知床に向かう。尖った斜里岳と、広く構える海別岳。どちらも動画と写真に収めた。こんなに晴れた知床は初めてかもしれん。


天に続く道で、鹿肉バーガーを頬張る

13時52分、天に続く道展望台に到着。Heavenという名の店で、エゾ鹿のチーズバーガーと知床流水サイダーを注文。ここで一息。

カウンター5席、テーブル3組というミニマムな店構えが、道の果て感を引き立ててくれる。

ハンバーガーの肉はしっかりしていて、でも臭みはない。知床らしい組み合わせに満足。

木のカウンターに置かれた北海道限定の知床流氷サイダーと、包み紙に包まれたご当地バーガー。窓の外には緑の木々が広がる。
旅先のごちそうは、窓の向こうの緑と、青く透きとおるサイダーと。

【斜里】地元スーパーで「なんもなんも」

ビッグマートみたに到着

14時40分、斜里の「ビッグマートみたに」に到着。

斜里町にある地元スーパー「ビッグマートみたに」の外観。白い建物に大きな黄色と赤の看板が目立つ。
知床観光やキャンプの買い出しに便利な地元スーパー「ビッグマートみたに」。

今夜の食材をゆっくり吟味する時間は、旅先の買い物ならではの楽しみだ。にしんのきずし、数の子山海わさび、つぶわさび、きんぴらごぼうをカゴに入れ、レジへ。

氷をめぐる勘違い

会計の時、愛想のいいお姉さんに「氷はありますか?」と聞くと、

「魚屋さんからもらえますよ」と笑顔で返ってきた。
「あ、そうじゃなくて、お酒を割る用の氷なんです」と伝えると、
「はい、そうですよ」とさらに笑顔。

いやいや、魚を冷やすあの氷では?…と聞き返すと、
「普通の氷です」と。

結果、魚屋さんの行って、しっかり袋入りの氷を手に入れた。ありがとうございます。

思わぬ会話の広がり

レジで、スーパー前の海産物直売店が閉まっていたので、その理由を聞くと「冬場だけ営業」とのこと。さらに、「天に続く道のところにあるHeavenさんがクレープとか売ってますよ」と教えてくれた。

「さっき行ってきましたよ!」と答えると、思わずレジで立ち話。やっぱり愛想がいい人との会話は楽しい。

「なんもなんも」の温度

会計を終え、「ありがとう」と伝えると、「なんもなんも」と返ってきた。北海道のやわらかい方言。たった一言で、その土地の温度が心に染み込む。

15時、スーパーを出発し、道の駅しゃりに寄ってから、クリオネキャンプ場へ向かう。

クリオネキャンプ場と、湯の熱さと、ノマドの夜

北海道・斜里町にある「RIDER'S HOUSE Clione」の外観。レトロな木造建物とオレンジ色の看板が目印。
名前の可愛さとは裏腹に、ガチな旅人たちが集う「RIDER’S HOUSE Clione」の正面外観。

15時半にクリオネキャンプ場チェックイン。名前の可愛さとは裏腹に、ライダーたちの拠点のような硬派な雰囲気もある。

モバイルハウスに荷物を置き、斜里温泉へ。熱い。2階はもっと熱いらしいけど、それはもう結構(笑)。

クリオネキャンプ場のモバイルハウス12番の外観。木製のデッキと屋根付きのスペースが備えられている。
番号付きのモバイルハウスは一棟ずつ個性があるプライベート空間。

戻ってから洗濯を回し、網走ゴールデンエールで喉を潤しつつ仕事開始。

アロハシャツは濡れてたけど、そのまま着たら気持ちいい。体温で乾かす作戦や。

クリオネキャンプ場のログハウス管理棟内。丸テーブルの上にノートパソコンと扇風機が置かれ、奥にはソファ席や窓の景色が広がるノマドワーク環境。
木の温もりに包まれた管理棟の一角でノマドワーク。Wi-Fi完備、24時間利用可の環境に、クラフトビールと静けさが加わればもう文句なし。

ここはWi-Fiの速度もよく、電源もある。道内ノマドベースのベスト3に入るやろな。

夕食はビールとにしんのきずし、トマト、山海わさびなど。

まったりしてたら、腕時計を温泉に忘れたことに気づく。ダッシュで戻る。

ザ・昭和旅館風の温泉施設に現れたのは若い女性。インターホン越しに時計を渡してくれた。ホッとした。

管理棟の夜。クリオネキッチンが閉まった21時半以降には管理棟に人が集まってくる。

洗濯機を静かに待つ人、一人晩酌の人、会社辞めた53歳と54歳のバツイチライダーの語らい、鹿児島から来た看護師のバイト女性、神戸在住のインターナショナルスクール数学教師のアメリカ人…。

ここはまるで、旅人たちの交差点みたい。

気づけば自分も、こんぶ焼酎を横にパソコンに向かってる。

それが「一番変なやつ」かもしれんな(笑)

クリオネキャンプ場での詳細記事はこちら▼

あわせて読みたい
【斜里】クリオネキャンプ場|“ガチな人たち”が集うライダーハウス 施設概要とチェックイン キャンプ場の周辺から見えた斜里岳の雄姿。白いそばの花畑と青く静かな山並みが、まるで絵画のような風景をつくり出していた。 ログハウスの管...

ほな、また明日!


今回訪問したところ

ヌプカの里(士幌高原)

士幌高原の自然に囲まれた体験型宿泊・キャンプ場施設。標高約600mからの十勝平野の眺望と、キャンプ・コテージ・ロッジ・レストランなど多彩なアウトドア体験環境が整っています。4月中旬~11月営業。

道の駅あしょろ銀河ホール21

足寄町市街中心部にある道の駅。旧ふるさと銀河線の足寄駅舎を活用したユニークな交流拠点で、特産品販売や鉄道展示、観光案内、カフェコーナーも併設。屋外テラスや無料Wi-Fiも利用可。

トプシの滝

足寄町の上利別地区、森の中に位置する落差約18mの滝。遊歩道・駐車場も整備され、秘境感あふれる自然美が間近で楽しめます。新緑や紅葉の時期に特におすすめ。

道の駅りくべつ

陸別町の国道242号沿い、鉄道体験が人気の道の駅。旧ふるさと銀河線「りくべつ鉄道」で実際のディーゼルカー運転も体験可能。宇宙関連の展示や、特産品コーナーも充実。冬は-30℃体験室も。

道の駅メルヘンの丘めまんべつ

大空町女満別の丘陵地に建つ道の駅。広い駐車場とピクニックに最適な芝生広場、カフェ・農産物直売所を併設。近隣の絶景「メルヘンの丘」とともに四季折々の田園風景を一望できる人気スポット。

天に続く道

斜里町峰浜から上斜里まで続く、一直線に伸びた全長約28kmの道。「天に向かって続く」ような絶景がSNS映えすると人気。夕日や雲海風景もおすすめのドライブ絶景ポイント。

Heaven cafe(ヘブンカフェ)

斜里町天に続く道の沿線にあるカフェ。ウッドデッキから絶景を眺めながら軽食・スイーツ・ドリンクが楽しめる。営業時間や定休は最新情報を事前に要確認。

ビックマートみたに しゃり店

斜里町市街のスーパーマーケット。地元食材・お土産も揃い、旅の補給拠点としても便利。営業時間や臨時休業は公式サイトまたは現地で要確認。

クリオネキャンプ場(斜里町)

オホーツク沿岸・斜里町にある海と森を感じる人気キャンプ場。広い芝生サイト、バンガロー・温泉・レンタルも充実。道の駅うとろシリエトクや知床へのアクセスも良好。

関連リンク

あわせて読みたい
【北海道の旅#14アーカイブ】2025年7月・車中泊まとめ ノマドワーク場所と星空を探しながら、暑さから逃げてキャンプとソロテント泊を楽しんだ9日間の旅。知床・然別・糠平・鹿追など、北海道の大自然と静けさに包まれた車中...

おすすめ記事

あわせて読みたい
旅ログ期間別一覧 日本を車中泊で旅した記録を、期間別にまとめました。思い出のルートや出会いを一緒にたどってみませんか。 【北海道の旅#15アーカイブ】2025年8月・車中泊まとめ 2025...
あわせて読みたい
車中泊ノマドワーカーのリアルと実践法 〜海と森に囲まれた旅するオフィス〜 旅をしながら働くーー。そんな理想を形にしたのが「車中泊ノマドワーク」だ。 青い海を背景にキーボードを叩く時間もあれば、温泉施設の休憩所で整いながら作業する日も...
あわせて読みたい
WILD GEESEについて ― 毎月、北海道に通う車中泊ワーケーションの旅ログ 息子の受験をきっかけに始まった、帯広への車中泊ワーケーションの旅。LCCと、北海道で手に入れた軽バンを相棒に、旅は今も続いています。いまでは北海道に限らず、全国...
あわせて読みたい
自由なワーケーション:軽バン車中泊で全国ノマドワーク 日本の軽バンライフでワーケーションとノマド旅を満喫!北海道を拠点に全国を巡る移動オフィス&ホテル、バンカスタムの魅力を紹介。 週末の軽バンライフを始めたきっか...
created by Rinker
¥64,900 (2025/09/14 12:53:23時点 楽天市場調べ-詳細)
あわせて読みたい
軽自動車で車中泊!フルフラット化を難易度別に徹底解説 初心者も安心!簡単で低コストなフルフラットにする方法や便利アイテムを紹介 軽自動車で車中泊を楽しみたいけれど、「がっつりDIYをするのはちょっと……」という方に向...
あわせて読みたい
軽自動車紹介 車中泊に使用している軽自動車 車中泊に利用している車を紹介するよ! ダイハツ ハイゼットカーゴ(クロ) 初年度登録:2013年9月1日購入時の走行距離:135000km超購入...
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次