道の駅南ふらの〜三段滝公園〜小樽〜神威岬〜浜益温泉〜増毛〜道の駅ふわっと苫前
滝とダムと岬と夕日と酒─海沿いの道は、風が吹いていた
2025年春の北海道車中泊の旅(Part12)
3日目:2025/05/26 運転時間:約9時間 走行距離:約300km
風に導かれた、あの岬まで
4時15分、道の駅南ふらので目が覚める。雨の音。もう明るい。誰かの気配。
ぼんやりした頭で、結露を拭いて出発。朝焼けではなく、霧の中。
いつもみたいに、行き先を決めてるわけでもない。気分で進む。
稚内か積丹か──答えは道が教えてくれるやろ、ってな具合。

滝とダムと恐竜の町を抜けて
芦別の三段滝公園の駐車場。朝の冷たい空気に包まれながら、セブンイレブンで買った焼鳥丼で腹ごしらえ。
食後、小雨の中、傘も差さずに滝へ向かう。林道で、濡れた靴底が「くちっ」と音を立てる。
三段に流れる滝の音が、案外すぐに近づいてくる。見上げると、段ごとに白いしぶきを上げながら流れ落ちる水。雨と滝の音が混ざり合い、耳に心地よいノイズになる。
しばらく立ち尽くす。
観光地というより、自然の「居場所」というような気配。
ほかに誰もいない。
静かな朝に、水だけが流れている。

恐竜の町、知らぬ間に通過
桂沢湖を横目に、新桂沢ダムを抜けて山あいの道を進む。
雨上がりの空が一瞬だけ明るくなり、フロントガラス越しに恐竜のオブジェが突然現れた。
首を伸ばしたティラノサウルスのようなシルエットに思わず「ん?何やあれ?」と口にする。
あとで調べてみたら、あの場所は三笠市立博物館。なんとこのあたり一帯は“化石の町”として知られていて、アンモナイトや恐竜の骨が見つかる地域らしい。知らずに通り過ぎたけど、たしかに地層を切ったような崖が続いていた気がする。
ただ通り過ぎただけの場所が、実は歴史や物語を持っている。
そんな気づきが、旅をあとからもう一度彩ってくれる。
港町の記憶、小樽の裏側
レンガ倉庫を裏手から見たのは初めて。
観光じゃない視点で見ると、小樽もまた別の顔を見せる。
海岸線を走るころには、空に光が射し始めていた。
積丹半島と神威岬

神威岬。前に来た時は、先っぽまでは行けなかった。でも今日は、晴れた。まさかの奇跡のタイミング。

韓国人の若いガイドと立ち話。北海道大学の交換留学以降、日本で仕事してるらしい。何かええな、こういう人生の進み方も。
石狩の風と、浜益の湯
15時34分、道の駅 石狩あいろーど厚田に到着。目の前に広がる日本海は、どこか冷たく、でも確かな広がりを見せていた。
土産コーナーで目に留まった「にしんのキリコミ瓶」と「ほたてのホッティ」を購入。どちらも1200円。瓶詰めの中に、北の味が詰まってる気がした。
車内でパソコンを広げ、少しだけ現実モードへ。EL案件を片付けて、16時33分から再び移動開始。海岸沿いの道に出ると、強い横風に車体が揺れる。自然が主役のエリアに入った実感が湧いてくる。
17時、浜益温泉の看板が見えた瞬間、吸い込まれるようにハンドルを切った。
小さな施設ながら、サウナと湯船の温かさに癒される。誰も急いでいない、そんな時間の流れ。着替えを済ませて再出発。
18時、右手に黄金山を見ながら、セイコーマート浜益店に立ち寄る。
おにぎり2個、イカウニ、焼き鳥8本、ノンアル3本。
海と風と、湯と塩気。
旅の余白が、少しずつ染み込んでくる。
増毛雄冬野営場─リングに射し込む、ひとすじの光
増毛町・雄冬野営場に車を停める。
ふと視界に入った金属のリングモニュメント。その真ん中に、夕陽がちょうどすっぽりと収まるのか?
ちょうど夕陽の時間。10分ほどその瞬間を待つ。晴れている。この時間にここにいる。ここで10分ほど待ってもよかろう。
案の定、きた!リングに差し込むオレンジの夕陽。
まるで太陽が、今日という一日をそっと「完了」マークしてくれたような、そんな気がした。

風力発電がまちのシンボル 風のまち風W(ふあっと)とままえ
20時50分、道の駅 風W(ふあっと)とままえに到着。
昨日の反省を活かして、今夜ははじめからN3Bを着込み、毛布にくるまる。ぬかりなし。
思っていたよりも車中泊の仲間は多く、ざっと20台ほど。
「宿泊者専用」エリアまであるあたり、旅人に優しい場所だとわかる。
漬物とニシンのきりこみで、いつものノンアル晩酌開始。ふわっと苫前でふわっとする。

窓の外は風の音。
もう今日は、これで充分やな
ほな、また明日!
今日のノマドマのスナップ
