地元高校生が紡いだ、日高本線の記憶 ─ ふれあいサテライトみついしで見つけた一枚のカレンダー

北海道浦河高校写真部制作の「思い出の日高本線」カレンダー
森のフクロウ

廃線となった北海道・日高本線の記憶を巡るカレンダー。それぞれの月が紡ぐ、列車と人々の物語。過ぎ去りし鉄道の風景と、そこに息づいた確かな日々の足跡を辿ります。
よければ、一緒に旅気分を味わってみてください。

目次

廃線跡の休憩所で

三石の海沿いを走る朝。廃線となった旧三石駅に立ち寄り、潮の香りのなか「ふれあいサテライトみついし」の扉を開ける。

木造の小さな建物「ふれあいサテライトみついし」の外観と駅名看板(旧JR日高三石駅跡)
旧三石駅の跡地に建つ、ふれあいサテライトみついし。今も旅人を迎える小さな休憩所。

木造の小さな建物。入り口にはかつての駅名が残る看板が立ち、内部はひっそりと静かだった。

ふれあいサテライトみついし内部の丸いベンチと窓際の椅子
静かな待合室。丸いベンチがぽつんと置かれ、壁には地元の掲示物が並ぶ。

目に留まったカレンダー

丸いベンチの向こうの壁に、1枚のカレンダーが貼られていた。
「思い出の日高本線(鵡川〜様似間 廃線)」と書かれ、廃線区間の駅名標や駅舎の写真がずらりと並んでいる。
よく見ると、制作は「北海道浦河高校写真部」。

北海道浦河高校写真部制作の「思い出の日高本線」カレンダー
壁に掲げられていた、高校生たちの手でまとめられた廃線区間の記憶。

列車が走らなくなった線路沿いの、無人駅や錆びたホームを一つずつ訪ね、シャッターを切ったのだろう。
駅名標の並ぶ写真に、高校生たちのまなざしが重なり、胸にじわりと何かが残る。


線路は消えても、思い出は残る

誰もいない駅の待合室で、地元の高校生が残した「記憶の地図」を見つける。
旅人として訪れた自分よりも、ずっと深くこの場所に寄り添った誰かの手仕事が、そこにあった。

線路はもう無いけれど、こうして思い出として貼られているうちは、まだ息づいているのかもしれない。
あの日、このカレンダーに出会えたことも、きっと自分の記憶のひとつになるだろう。

草に覆われた廃線跡の線路と「立入禁止」の標識(旧日高三石駅付近)
草むらに埋もれた線路の先に、時が止まったままの駅跡があった。

線路の上を歩くことはもうできなくても、記憶の上なら、何度でもたどれる。
……それが、旅の意味なのかもしれん。けてくる。
それに気づけるかどうかは、旅人次第なのかもしれない。

森のフクロウ川柳

森のフクロウ

剥がれずに
 時を貼りつく 夏の駅

そんな話もありますねん。

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