アイヌの聖地「ピリカノカ」に立つ
6時55分、地球岬到着である。
名勝ピリカノカの正式名称で呼ばれるこの場所。
ピリカノカはアイヌ語で「美しい形」という意味だそうだ。

なるほど、確かに美しい。
朝もやの中に浮かぶ断崖絶壁の姿は、まさに「美しい形」としか言いようがない。
地球岬という名前の由来も面白い。
アイヌ語で「鳥がいる場所(チケプウシ)」を意味していたのが、いつの間にか「地球岬」と訳されたという。
語源の「ポロ・チケップ」(親である断崖)が、チキウエ→チキウと転訛して、「地球岬」という当て字が使われたらしい。
カムイが宿る特別な聖地の重み

この場所は、単なる観光地ではない。
アイヌ民族にとって「カムイ(神)が宿る」特別な聖地なのである。
心のよりどころであり、精神文化の象徴でもある。
そんな神聖な場所に、朝の7時前に立っている自分。
なんだか畏れ多い気持ちになってくる。
1990年に「名勝ピリカノカ」として正式に指定されたというのも納得である。
地形や自然環境が貴重だからというだけでなく、文化的な価値も含めての指定なのだろう。
駐車場から階段で登る、三冠王の絶景スポット
駐車場から階段を登って展望台へ向かう。

この地球岬、実は凄い経歴の持ち主である。

昭和60年の「北海道の自然100選」で第1位。
昭和61年の「あなたが選ぶ北海道景勝地」でも第1位。
昭和62年の「新日本観光地百選ヤングカップル部門」でまた第1位。
三冠王である。
これだけ多くの人に愛される場所なのだから、期待も高まるというものだ。
地球の円さと自然の雄大さを実感する瞬間

展望台に立つと、確かに地球の丸さを実感できる。
100メートル前後の断崖絶壁が連なる海岸線が、はるか彼方まで続いている。
晴れた日には対岸に駒ヶ岳が見え、遠くは恵山岬や下北半島まで望めるという。
残念ながら今日は朝もやで視界がイマイチだが、それでも十分に雄大である。
自然の前では人間なんてちっぽけな存在だと、つくづく思い知らされる。
イルカウォッチングの隠れスポット
地球岬沖は、イルカウォッチングの穴場でもあるらしい。
夏から秋にかけて、この展望台からもイルカの群れが見られることがあるという。
今の季節と時間帯では難しそうだが、それでも海面をじっと見つめてしまう。
もしかしたらイルカが跳ねているかもしれない、という淡い期待を抱きながら。
大正9年から見守り続ける白い灯台

断崖の上には、チキウ岬灯台が真っ白な姿で立っている。
1920年(大正9年)に点灯したという、歴史ある灯台だ。
沖行く船や室蘭港に出入りする船の安全を願って、今日まで光を灯し続けている。
この辺りは、クジラやイルカが回遊しているエリアでもある。
運が良ければ見ることができるらしいが、今日は見つけられなかった。
まあ、それもまた旅の醍醐味である。
7時20分に出発する頃には、小雨が降り出していた。
神聖な場所からの、静かな見送りのような雨である。
地球岬基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
位置 | 絵鞆半島最南端、太平洋に突出した岬 |
所在地 | 〒051-0003 北海道室蘭市母恋南町4-77 |
地名の由来 | アイヌ語「チケプ」(断崖の意)から「チキウ」→「地球岬」 |
地形特徴 | 高さ100m前後の断崖絶壁が連続 |
景勝地認定 | 北海道の自然100選 第1位 あなたが選ぶ北海道景勝地 第1位 新日本観光地百選ヤングカップル部門 第1位 |
展望台高度 | 海抜約130m |
眺望範囲 | 晴天時:太平洋、恵山岬、下北半島、駒ヶ岳が見える |
特色 | 「地球の丸さ」が実感できる360度の大パノラマ |
野生動物 | ハヤブサの営巣地 イルカ・クジラの回遊(春~秋) |
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