帯広~糠平湖~タウシュベツ川橋梁~士幌線幌加駅跡~三国峠展望台~銀河の滝・流星の滝~層雲峡~橙ヤ~セブンスターの木~ケンとメリーの木~道の駅 びえい「白金ビルケ」~青い池~十勝岳カミホロ荘
早朝のキャンプ場から十勝岳温泉までの北海道を味わう
2024年夏の北海道車中泊の旅(Part7)
2日目:2024/08/07
コンテンツ
糠平湖キャンプ場:早朝から霧と静寂に包まれて
2024年8月7日(水)
4時半、まだ薄暗い空の下で目覚めた。冒険を求める心が、眠気を打ち砕く。小雨が窓を叩く音を聞きながら、5時10分に出発。目指すは「糠平湖キャンプ場」。旅の始まりにふさわしい静かなスポットだ。
車を走らせることしばらく、キャンプ場に到着。看板を見て驚愕の事実を知る。利用料金はたったの350円。「えっ、本当に?桁を間違えていません?」と確認したくなる価格だ。この値段で湖畔の絶景を楽しめるとは、北海道の自然は心まで広い。いや、ほんま。
糠平湖(ぬかびらこ)
北海道の十勝地方に位置する人造湖で、大雪山国立公園の自然豊かな環境に囲まれています。1956年、糠平ダムの完成によって形成されたこの湖は、四季折々の風景が楽しめる絶景スポットとして知られています。特に湖畔から望む雄大な山々と澄んだ水面は訪れる人々を魅了します。
湖周辺にはキャンプ場や遊歩道が整備され、アウトドアを楽しむには最適な環境です。350円というリーズナブルな利用料金の糠平湖キャンプ場は、静かな自然の中でゆったりと過ごすことができ、湖面にはカヌーや釣りを楽しむ人々の姿も見られます。
さらに、タウシュベツ川橋梁や紅葉の名所としても有名で、歴史と自然の両方を堪能できるスポットです。
キャンプ場に足を踏み入れると、辺りはまだ霧に包まれている。木々の間から薄く漏れる光と、湖面に漂う霧が織りなす光景はまさに幻想的。うまく写真で伝わらないのが歯がゆい。
これはもう、映画のワンシーンに迷い込んだ気分だ。思わず深呼吸をすると、湿った草の香りが鼻をくすぐる。都会じゃ絶対に味わえない空気だ。
車を停めたまま、ふと「朝一のメールだけでも片付けるか」とノートパソコンを取り出す。
曇りガラス越しに見える湖の霧と、微かに聞こえる鳥の声。それをバックミュージックに、メールのチェックを始めた。「あー、こんな場所で仕事ができたら最高だよな」と思いながら、キーボードをたたく。
車内は小さなオフィスのようになり、自然の中でデスクワークをする贅沢に心が躍る。メールの返信を打つ手が軽い。むしろ、都会のオフィスにいるときよりスムーズかもしれない。これは空気のせいなのか、それとも湖畔という非日常がもたらす魔法か。
「これ、もう動かなくてもいいんじゃないか?」という考えが頭をよぎる。次の目的地?いやいや、何を言ってるんだ。この場所で全て完結するじゃないか。糠平湖の静寂と霧に包まれている今が、最高の一瞬だ。
「今日の行程はここで打ち止めでいいんじゃない?」と自分に問いかける。霧が立ち込める湖面を眺めながら、エンジンを切って車内に籠城するプランが頭の中を支配する。でも、どこかで次の目的地が「いやいや、僕のことも見て行ってよ」と手を振っている気もする。悩ましい。
結局、車を出すべきか、出さざるべきか。自然の静けさが語りかけてくるようで、その誘惑に抗うのはなかなか骨が折れる。だが、旅の一番の醍醐味は「次へ進むこと」だと、自分に言い聞かせる。
とはいえ、次の目的地に行くかどうかはまだ未定。だって、この湖が放つ「ここでのんびりしなさい」というオーラがあまりにも強すぎるのだ。
そうだ、もう少しだけ車を停めておこう。そして、メールを片付けながら、この静かな湖畔での時間をじっくり味わおう。今日の旅がどこで終わるかなんて、まだ分からない。だけど、今この瞬間が特別なのは確かだ。
湖畔を歩いてみると、遊歩道が整備されていることに気づく。これがまた、程よく自然と調和している。歩きながら耳を澄ませると、鳥のさえずりと風の音だけが聞こえる。「文明って本当に必要なのか?」と一瞬思ったが、軽自動車で走り回っている自分がその文明の恩恵を受けていることを思い出し、考えるのをやめた。
湖面を見下ろすと、空と木々が鏡のように映り込んでいる。この美しいコントラストがまた、心を奪う。水辺の静寂は、日常の喧騒を完全に忘れさせてくれる。
「この静けさ、何ものにも代えがたいな」と呟きながら歩を進めると、ふと茂みの中から鹿たちが姿を現した。「おっ、おはようさん」と挨拶するも、完全に無視される。自然界の住人はそっけない。
散策を終え、車に戻るころには雨もほぼ上がっていた。糠平湖キャンプ場は初心者にも優しい環境が整っていて、何よりこの値段でこの景色。
正直、教えたくない穴場だ。ここに一人でも多くの人が来ると、静寂が失われる気がする。だが、あまりにも良いので内緒にしておくのはもったいない。
さて、霧と静寂に満たされた心を抱えて、次の目的地に向かうとしよう。
タウシュベツ川橋梁と三国峠:壮大な北海道の絶景を巡る
北海道でのドライブと言えば、絶景を楽しむ旅ともいえる。今回の目的地は、廃線となった鉄道の橋が静かに佇む「タウシュベツ川橋梁」と、標高1,139mの「三国峠」に。どちらも北海道らしい広大な景色が楽しめるスポットだ。
ヒグマ注意!タウシュベツ橋梁展望台からの遠目観察記
7時40分に「タウシュベツ橋梁展望台広場」に到着。目に飛び込んできたのは、なにやら「ヒグマ目撃情報あり」の看板。おいおい、これはもう展望台どころの話じゃないぞ。「今日はあの橋を見るんじゃなくて、生きて帰ることが目標だな」と一人で苦笑い。
展望台までの道のりは静かな森の中を進む小道だ。周囲はひっそりとしていて、鳥のさえずりがかすかに聞こえるのみ。その静けさが逆に恐怖を煽る。「おい、ヒグマさん、出るなら今だぞ!」と内心叫びつつ、慎重に足を運ぶ。手には万が一のために持参した…いや、正直何も持ってない。武器どころか、手ぶらの丸腰だ。今さら気づいても遅い。
そんなこんなで展望台に到着。遠目には干上がりそうな湖と、その中にぽつんと佇むタウシュベツ橋梁。これが噂の「幻の橋」か!遠目に見るだけでも十分に雰囲気が伝わってくる。霧がかかっている日なら、もっと神秘的な景色になりそうだが、晴れでもなく霧でもない天気。橋がぽつんと湖の中に浮かんでいる姿は、なんとも儚げだ。
「近くまで行ったらもっと迫力があるんやろな」と思いつつも、さっきのヒグマ情報が頭をよぎる。「橋は見たいが、熊は見たくない」展望台でじっくり眺めることに専念する。遠目でも十分に美しいが、「近づきたかったなぁ」と少し未練も残る。
結局、熊との遭遇はなく無事に展望台を後にすることができた。車に戻ると、思わず「今日は生き延びたぞ」と安堵のため息をつく。タウシュベツ川橋梁、遠目からでも十分に楽しめたが、次はヒグマのことを気にせず、もっと近くで見られる日を夢見ておこう。
タウシュベツ川橋梁は、NPO法人ひがし大雪自然ガイドセンターが主催する有料ツアーに参加することで、間近で観ることができます。
幌加駅の変遷
幌加駅は士幌線の起点・帯広駅から69km、終点・十勝三股駅まで7kmの位置にあり昭和14年に開業しました。上士幌駅からは大半が上り勾配なので、SL時代は石炭をかまに連続投入するのに忙しく、機関士は大変な重労働を強いられた区間でした。昭和29年の洞爺丸台風により幌加周辺に大量の風倒木が発生、その処理に多くの造材人夫が入り、住宅・商店・飲食店・事業所などが建設されました。昭和37年頃の幌加は約80軒の建物があり、350人くらいの人が住んで賑やかな町を形成していました。しかし風倒木の処理が終わると、人は次第に消えていきました。昭和53年、糠平駅~十勝三股駅間、18.6kmの列車運行が廃止され、バスによる代行運送に変わり、幌加の駅としての役割は終わりました。士幌線やアーチ橋の詳しい情報はぬかびら源泉郷にある上士幌町鉄道資料館で提供しています。開業年:幌加駅は1939年(昭和14年)12月2日に、国鉄士幌線の駅として開業しました。当初は地域の交通の要所として、多くの利用者がこの駅を訪れていました。
役割:幌加駅は、地元住民の生活を支える重要な拠点であり、農産物の輸送や地域間の移動手段として利用されていました。また、観光地として知られる糠平湖や近隣の温泉地へのアクセスにも便利な場所でした。
廃止:士幌線は時代とともに利用者が減少し、路線維持が難しくなったため、1987年(昭和62年)3月23日に幌加駅は廃止されました。廃線後は、周囲の自然や歴史的背景が注目される観光スポットとなっています。
三国峠:道東と道北を結ぶ天空のドライブと大樹海の絶景
次の目的地「三国峠」へ向かう。峠への道中は、山々が連なる雄大な景色が車窓に広がる。北海道の大自然を走り抜けるこの道は、まさにドライバー冥利に尽きるコースだ。
三国峠に近づくと、標高が徐々に上がり、空が近くなってくる感覚がたまらない。展望台に車を停めて、眼下に広がる森と山々を見渡す。
圧倒的なスケール感に、思わず「すごい!」と声が漏れる。
この峠は標高1,139メートルと道内で最も高い国道の峠として知られ、眼下に広がる広大な大樹海の森林景観が圧巻である。
ここは道東と道北を結ぶ主要な峠でありながら、観光地としても評価が高い。風に乗って聞こえる鳥のさえずりが、また心地よい。
峠の上には「三国峠カフェ」があり、ここでコーヒーを飲むのが旅人たちの楽しみ。こういう場所では、飲み物の味が3割増しになる気がする。
残念ながら着いた時間が開店前だったので、寄れずじまいだったが、熱いコーヒーを手に、自然の中でひと息つく時間は、何にも代えがたい贅沢なんだろうな。
道中は滑らかな道路が続き、ドライブそのものも楽しめるルートである。三国峠はただの移動手段としての峠ではなく、北海道の自然を満喫できる絶景ポイントなのだ。
タウシュベツ川橋梁と三国峠。この二つのスポットには、北海道の雄大さと自然の静けさが詰まっている。それぞれの場所で過ごした時間は長くはなかったが、心に残る風景が旅を彩ってくれる。
道中、車を運転しながら考えた。「旅の醍醐味って、こういう何でもない瞬間にあるよな」と。目的地の景色ももちろんだが、その間にある何気ない風景や、道のりで感じる空気の変化も旅の一部。北海道の自然は、そんな気づきを与えてくれる場所だ。
層雲峡と滝巡り:銀河の滝・流星の滝と黒岳ロープウェイ&リフト体験
朝9時、層雲峡のシンボルともいえる銀河の滝と流星の滝に到着。さっそく滝見物開始だ。最初に流星の滝を見上げると、「おいおい、そこからそんな勢いで落ちるのか!」と圧倒される。高さ120メートルから一気に流れ落ちる水の迫力は、遠目にもビシビシ伝わってくる。
水しぶきがこちらに飛んでくることはないが、その豪快な様子を眺めていると、まるで自分も滝壺の近くに立っているような気分になる。遠くにあるにもかかわらず、その力強さに心が揺さぶられるようだ。
その隣に控えるのが銀河の滝。こちらは流星の滝とは打って変わって、繊細な糸のように水が流れ落ちていく。「おい、こっちは水の流し方、上品すぎないか?」と滝に話しかけたくなる。流星の滝が体育会系なら、銀河の滝は完全に文化系だ。この二つが「夫婦の滝」と呼ばれるのも納得だな。まるで性格の違う夫婦が、なんだかんだでうまくバランスを取っているようだ。
黒岳ロープウェイとリフト:天空の旅
9時15分には大雪山層雲峡・黒岳ロープウェイ&リフト
滝の見学を終えたら、次は層雲峡ロープウェイへ。これまた楽しみだ。ゴンドラに乗り込むと、ぐいぐいと高度を上げていく。「おお、なんだこの景色は!」と声を上げずにはいられない。眼下には層雲峡の谷、遠くには大雪山系の山々が広がる。この絶景に心が一気に解放される感じだ。
ロープウェイの終点に着くと、さらにリフトに乗り換える。リフトはオープンエアーで、風が涼しく顔を撫でてくる。「これ、最高じゃないか!」と叫びたくなるが、他の観光客もいるので控える。山頂近くまで到着すると、そこには驚きのパノラマが待っていた。遠くの山並みと、広がる大地。ここで深呼吸すると、旅の疲れなんてどこかに吹き飛ぶ。
「いやー、自然のスケール感ってやつは、すごいもんだな」と感心しつつ、景色を眺める。夏でも涼しい高地の空気が心地よく、山の静けさが耳にしみる。この場所、住めるなら住みたいくらいだ。
層雲峡ロープウェイとリフト
北海道大雪山国立公園の中に位置し、日本でも有数の雄大な山岳風景を楽しめる観光施設。このロープウェイは、層雲峡温泉街から黒岳五合目までを結ぶ全長約1.6kmの路線で、約7分間の空中散歩を楽しむことができます。
ロープウェイの終点である五合目駅には、さらに上へと進むためのリフトが設置されています。このリフトに乗ると黒岳七合目に到着し、標高1,500メートル地点までアクセス可能です。リフトの所要時間は約15分。
黒岳七合目からは、さらに頂上を目指す登山道が整備されており、本格的な登山に挑戦する人々も多く訪れます。一方で、ロープウェイとリフトを利用するだけでも十分に大自然の迫力を体験することができるため、観光客や家族連れにもおすすめのスポットです。
味噌パンで北海道らしい一息
絶景を満喫した後は、ちょっと小腹を満たそうと売店へ。目に飛び込んできたのは「味噌パン」。パンに味噌?と最初は戸惑ったが、旅先では冒険がつきものだ。迷わず購入して一口。
これがまた絶妙だ!濃厚な味噌の風味がほんのり甘いパン生地に溶け込んでいる。まさに「北海道の素朴さが詰まった味」だ。
味噌パンを頬張りながら、「これ、もう一個買っておけばよかったな」と後悔するも、時すでに遅し。パンの最後の一口を惜しみつつ食べ終わり、満足感に浸る。この軽食、観光の合間にぴったりだ。
旭川グルメ:橙ヤの味噌ラーメン
正午きっかりに旭川に到着。車を降りると、夏の暑さが肌にじりじりと迫ってくる。「これはまず、水分補給が最優先だな」と、目指すは北海道民の味方「セイコーマート」。全国チェーンにはない独特の魅力がここにはある。
店内に入ると、冷えたビールがずらりと並んでいる冷蔵ケースが目に飛び込んでくる。「これだ!」とサッポロクラシックラガーをとりたいこころ、サントリーからだを想うオールフリーを一本手に取る。ついでに惣菜コーナーで唐揚げとポテトフライも調達。
次の目的地は、旭川のラーメン屋「橙ヤ」。12時15分、店に到着すると、すでに人気の兆しが見える。「こりゃ期待できるぞ」とメニューを見て迷わず味噌ラーメンを注文。さらに、豚丼と餃子も追加しておく。「これで足りないなんて言ったら、人間失格だな」と内心笑う。
注文したラーメンが運ばれてくると、まずはその見た目に驚かされる。濃厚な味噌スープに浮かぶネギとチャーシュー、そして香り立つスープの湯気。スープを一口すすると、深いコクと旨みが舌を支配する。「これ、ただの味噌ラーメンじゃないぞ」と思わず顔がほころぶ。
続いて豚丼を頬張ると、甘辛いタレが絶妙で、ラーメンとの相性抜群。「これは炭水化物祭りだ!」と自分にツッコミを入れながら餃子にも手を伸ばす。餃子の皮はカリッと香ばしく、中からあふれる肉汁がたまらない。
美瑛の木巡り:パッチワークの路は断念
午後、美瑛の「パッチワークの路」を目指して車を走らせた。が、目的地に近づくにつれて、観光客の車が次々と目に入る。駐車場はぎゅうぎゅう、道路は渋滞気味。「これは…北海道の広大さを体感しに来たはずが、人混みの広大さを体感する羽目になるぞ」と、一気に気持ちが冷めた。パッチワークの路は潔く断念。「よし、木だけに集中しよう」と、作戦変更だ。
セブンスターの木:堂々たるカシワの存在感
最初に訪れたのは「セブンスターの木」。たばこのパッケージで一躍有名になったこの木は、観光スポットとして不動の人気を誇る。車を降りて木に近づくと、その一本が丘の上で堂々と佇む姿に心を奪われる。
「これがあのスターか…」と見上げると、どこか誇らしげな雰囲気が漂っている。だけど近寄りすぎると、意外に控えめな佇まいも感じられて、「お前、謙虚なんだな」とちょっと親近感が湧いた。
風が吹くたびに葉がサワサワと揺れる音が心地よく、しばらくそこでボーッと木を眺める時間を楽しむ。観光客もそれほど多くなく、のんびりした空気が漂っていたのがまた良い。
ケンとメリーの木:ポプラの静かな語りかけ
次に向かったのは「ケンとメリーの木」。こちらは、日産スカイラインのCMで一躍有名になった場所だ。名前からしてロマンチックなイメージがあるが、実際に見ると、どこか寡黙で落ち着いた雰囲気が漂う。
ポプラの木は、青空を背景にそびえ立ち、広大な美瑛の大地と見事に調和している。風に揺れるその姿が、「ここで立ち止まって、しばし大地を感じなさい」と静かに語りかけてくるようだ。「ケンとメリー」という名前の響きには甘いストーリーを感じるけど、木そのものはあくまで無口だ。いや、それがまた良い。
木をバックに写真を撮ろうとする観光客を眺めながら、自分も一枚パシャリ。どことなく木が「またか」と呟いている気がするが、気にしない。
木だけで満足できる美瑛の午後
こうして、美瑛の木々を巡る午後が終わった。パッチワークの路には行かなかったけれど、結果的に正解かな。観光客の賑わいを避けて、木々と静かに向き合う時間を過ごせたから。
セブンスターの木とケンとメリーの木。どちらもそれぞれの個性を持った「美瑛の顔」だ。青空と丘の景色に溶け込むその姿を見ていると、不思議と心が穏やかになる。結局、美瑛で一番大事なのは広大な景色もいいが、その中で自分だけの時間を見つけることなんだろうな、と妙に納得してしまった。
白金ビルケと青い池:美瑛観光のハイライト
午後3時、道の駅「白金ビルケ」に到着。美瑛観光の途中で一息つけるこの場所は、広々とした駐車場と清潔な施設が整った便利なスポットだ。「とりあえず休憩だ」と車を降りると、目に飛び込んできたのは地元の新鮮な農産物や特産品のコーナー。「おっ、これが噂の美瑛の恵みか」とテンションが上がる。
施設横の売店では、冷たいそうめんや旭川のソウルフード「ジュンドッグ」が販売されている。ジュンドッグ?聞き慣れない名前に興味をそそられるが、これ以上食べると宿の食事に影響をきたすのでやめておいた。
白金ビルケはただの道の駅じゃない。観光情報も充実していて、地図やパンフレットを眺めながら次の目的地を計画するのに最適だ。「さて、次はどこに行こうか?」と考えながらも、もちろん次の行き先が決まる。そう、白金の青い池だ。
白金の青い池:自然が描く青の世界
白金の青い池を訪れるのは今回で2回目。前回は1ヵ月前の午前9時。まだ朝の涼しい空気が漂う時間帯で、観光客も今回ほど多くなかった。「これが噂の青い池か」と、初回はその美しさに浸ることはできた。
しかし、今回訪れたのは午後3時。駐車場に着いた瞬間から「これはちょっと…多すぎるんじゃない?」と観光客の数に圧倒される。入り口付近は、人と人の隙間を縫うように歩かなければならないほどの混雑ぶり。正直、池を見に来たというより、人の群れを見に来た気分だ。
それでも池のほとりに辿り着くと、やはりその青さには目を奪われる。「やっぱりすごいな、これ」と感心するが、前回の静かな時間を知っているだけに、どこか落ち着かない。水面に映る木々や空の美しさは変わらないのに、その風景をじっくり味わう余裕がない。「これが人気スポットの宿命か」と妙に納得しつつ、人混みの間からベストショットを狙う。
青い池自体は自然の神秘そのもの。アルミニウムを含む湧水と光の屈折が作り出す独特の青色は何度見ても感動的だ。ただ、今回の訪問で分かったのは、「青い池は早朝に行くべきだ」という教訓だ。静寂の中で眺めるあの青さこそ、本当の魅力を堪能できる瞬間だと改めて思い知らされた。
人の多さに少し疲れたものの、池そのものの美しさに救われる。次に訪れるなら、また静かな朝の時間帯を狙おう。青い池はその時々で見せる表情が異なるから、訪れる時間や季節を変えて楽しむのも悪くないかもしれない。
「まあ、こんなに人がいるのも青い池が魅力的だからこそ」と自分を納得させつつ、次の目的地へ向かうことにした。
十勝岳カミホロ荘:山と温泉とビールに癒される特別な夜
16時、十勝岳のカミホロ荘に到着。標高1200メートルという高地に位置するこの宿は、まさに自然の中に溶け込んだような特別な場所だ。
チェックインを済ませて外に出ると、目の前には広がる十勝岳の壮大な山々と澄んだ空気が迎えてくれる。これだけでも十分に心が洗われる気分になる。「これ、帰りたくなくなるやつだな」と早くも思ってしまう。
露天風呂:十勝岳と鹿との共演
部屋でひと息ついた後、さっそく温泉へ直行。カミホロ荘の温泉は源泉掛け流しで、特に露天風呂が絶景だ。湯船に浸かりながら見上げると、十勝岳がまるで巨大なスクリーンのように広がっている。
そして、露天風呂でまったりしていると、なんと湯船の横に鹿がひょっこり登場!思わず「おい、観光客か?」と心の中で突っ込む。鹿は全く動じる様子もなく、こちらをちらりと見て、またどこかへ去っていった。
これが北海道の自然というやつかと、妙に感心してしまう。
ラウンジ:飲み放題とおしゃべりの夜
温泉で体がほぐれた後は、ラウンジでひと息。ここでは、サッポロクラシックビールとハイボールが飲み放題という天国のようなサービスが待っている。「これは危険だぞ」と思いつつ、ビールを一杯。そしてもう一杯。気づけばいい調子になり、隣の席の年配のご夫婦とおしゃべりが始まる。
話題は自然のことから旅の思い出、果ては温泉の効能まで多岐にわたる。気づけば30分以上話し込んでいた。「高度が高いとお酒が効きやすいって本当だな」と思いながら、心地よい酔いに包まれる。
カミホロ荘の夕食:北海道の恵みをほろ酔いで堪能
温泉で体を癒し、ビールとハイボールで心地よく酔いが回った後は、お待ちかねの夕食タイム。宿の食事処に向かうと、テーブルには見事な料理の数々が並んでいる。
「おいおい、これ、どこから手をつければいいんだ?」と一瞬圧倒されつつ、まずは目で楽しむ。
前菜は、ローストポーク、枝豆豆腐、帆立菜。どれも繊細な味わいで、見た目も涼やか。「これは食べるのがもったいないな」と言いつつ、一口でパクリ。そして、刺身盛り合わせ。新鮮な魚の旨みが口の中で広がる。これぞ北海道の海の恵み。「もうこれだけで満足できるぞ」と思ったが、もちろんここで終わるわけがない。
焼き物の銀鱈西京焼きは絶品。ふっくらした身に西京味噌の風味が絶妙で、箸が止まらない。添えられたはじかみもいいアクセントだ。そして炊き合わせの萩まんじゅう。優しい出汁の香りが心をほぐしてくれる。「これはまるでお袋の味の進化系だな」と心の中で称賛。
台の物にはふらの和牛と焼き野菜が登場。熱々の鉄板の上で焼き上げられる和牛は、噛むたびに旨みがあふれる。揚げ物もまた秀逸で、海老、れんこんのはさみ揚げ、さつまいも、ししとうが揚げたてのサクサク感を保ったまま提供される。「これ、もう一皿頼めないのか?」と真剣に考える。
酢の物は干柿菜野菜砧巻き、きゅうり、土佐酢。さっぱりとした味わいが、ここまでの料理を見事に締めくくる。そしてデザートの富良野メロン!甘くてジューシーなその一口が、口の中を完全にリセットしてくれる。「これが北海道のデザートか…恐れ入りました」と思わず唸る。
さらに感動したのがセルフコーナー。コーンの炊き込みご飯、枝豆と塩昆布混ぜご飯、白米、香の物、ふりかけ茶漬け、けしじみの味噌、汁物、さらにはコーヒーと紅茶まで。「もうこれ、ビュッフェじゃないか!」と嬉しい悲鳴を上げながら、少しずつ全種類を味わう。
ほろ酔い気分で、ひと皿ひと皿をゆっくりと楽しむ。お酒の力も手伝って、料理の味が一層引き立つ気がする。北海道の山と海の恵み、そして料理人の技が詰まった食事は、まさに至福の時間だった。
食後、満腹のままラウンジで少しのんびり。「これ以上何を求める?」というくらい、心も体も大満足の夜だった。
ヒルクライムと絶景:サイクリストの聖地
壁のポスターを見ると、このエリアはロードバイクのヒルクライム大会が開催される場所としても知られているらしい。厳しい坂道を登り切った先に待つ絶景と温泉。これは間違いなくサイクリストの心を掴むだろう。
「自分も挑戦してみたいな」と一瞬思ったが、「アカンアカン」その考えはビールとともにどこかへ消えた。
明日は、帯広に向かって走る。南ふらののぽっぽやロケ地の幾寅駅、新得の共働ミンタルでチーズと蕎麦屋せきぐち、帯広で六花亭、オベリベリ温泉水光園の予定。
ほな、また明日!
今回訪問したところ
糠平湖
タウシュベツ川橋梁展望台
士幌線幌加駅跡
三国峠展望台
銀河の滝・流星の滝の駐車
大雪山層雲峡・黒岳ロープウェイ&リフト
らーめん橙ヤ 旭川本店
セブンスターの木
ケンとメリーの木
道の駅 びえい「白金ビルケ」
白金青い池
カミホロ荘

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