【本州縦断の旅#2-3】新潟経由で会津若松へ──熱い湯と熱い酒の一日(会津若松)

飯盛山の「さざえ堂」。二重螺旋構造を持つ独特な木造建築。
目次

上越28区の謎と、会津若松で交わる縁

訪問地リスト
片貝山ノ守キャンプ場〜親不知〜道の駅マリンドリーム能生〜良寛の里わしま〜道の駅みかわ〜日本一の巨木〜道の駅にしあいづ〜飯盛山〜愛宕神社

2025年夏の本州縦断の旅(Part2)
3日目:2025/08/20
運転時間:約7時間40分 走行距離:約310km

夜明け前の出発と鱈汁への未練

2025年8月20日。朝5時50分、片貝山ノ守キャンプ場のテントを畳んだ。まだ薄暗い。

車を走らせること1時間、6時50分に新潟県へ突入である。鱈汁を食いたい気持ちがむくむくと湧いてきたが、時間が時間だ。断念した。朝っぱらから鱈汁を出してくれる店などそうそうない。世の中は厳しい。

親不知を越えて、力士の道の駅へ

7時、親不知を通過。あの断崖絶壁の難所である。昔の旅人はここで命を落としたというが、今はトンネルと橋でスイスイだ。文明の勝利である。7時30分、282kmの地点でガソリンを20リットル注油。3610円也。最近の燃料費は財布に厳しい。

8時、道の駅マリンドリーム能生(のう)に到着した。ここは大の里という力士の出身地で、道の駅のあちこちに力士の看板が立っている。力士推しの道の駅である。そういえば道の駅というのは地域色が出ていて面白い。

上越市の28区という謎

8時45分、車内で話題になったのが上越市の区の多さだ。「なんでこんなに区が多いんだ?」と誰かが言った。調べてみると、なんと28区もある。これは地域自治区設置数が日本で最も多い市町村らしい。

地域自治区というのは、市町村が条例で区域を分け、住民意見を行政に反映しつつ市町村長の事務を分掌させるために設ける「市町村の内部組織」である。まあ、要するに合併のときの苦労がしのばれる話だ。それぞれの地域のプライドと事情があるのだろう。

上越ナンバーをつけた「株式会社真田」という会社名にも興味を持った。真田といえば真田幸村。上越と真田の関係は調べたら面白そうだが、旅は先を急ぐ。

義経と弁慶の伝説が残る胞姫橋

9時20分、胞姫橋(よなひめばし)を撮影した。新潟県柏崎市にある国道8号線の橋である。1974年に芭蕉ケ丘トンネルと合わせて開通したこの橋は、かつて「米山峠」と呼ばれた交通の難所を改良したものだ。土砂崩れが多く、通行止めが頻繁だったというから、昔の人は大変だったに違いない。

名前の由来が面白い。源義経が奥州へ向かう道中、この地で北の方(静御前)が産気づき、無事に若君(亀若丸)を出産したという伝説がある。その際、弁慶が胎児を包んでいた「胞衣(えな)」を神社に納めたことから、「胞姫神社」が安産の神様として信仰されるようになったのだ。

橋の名前もこの伝説に由来している。義経一行は本当にあちこちで伝説を残している。

良寛の里と阿賀野川を越えて

10時10分、長岡市に入った。10時15分、道の駅良寛の里わしまに到着。ここは良寛と貞心尼の出逢いの場所である。良寛といえば清貧の僧。貞心尼との関係は文学的にも興味深い。

11時42分、阿賀野川にかかる馬下橋を撮影。12時、阿賀町の道の駅みかわ近くにある「長四郎」という店で昼食をとった。肉野菜炒め定食、850円。腹が減っていたので美味かった。12時25分に店を出て、日本一の巨木を見に行く。300m先にあるという。

福島県へ、そして会津若松へ

13時10分、福島県に入った。13時25分、道の駅にしあいづに立ち寄る。道の駅は車中泊車に優しい。そういう説明ポスターが貼ってあった。旅人の味方である。

13時50分、富士大橋を撮影。14時半、会津若松に移住された先輩と合流した。14時40分、飯盛山の駐車場に到着。ここからが本番である。

白虎隊と近藤勇、階段との闘い

参道から階段を170段ほど登る。エスカレーターがあって、250円で利用できる。途中からなら150円。白虎隊の墓に参拝。若くして散った少年たちの無念に思いを馳せる。

15時10分、さざえ堂へ。「これがさざえ堂か」と感嘆の声が漏れる。二重螺旋構造の独特な建築に魅了された。

15時30分、愛宕神社で近藤勇の墓参り。ここの階段170段が本当にしんどい。参拝後、16時に八角(やすみ)神社の駐車場に車を停めた。

伝説の熱い湯、竹之湯

16時14分、「超音波浴場竹之湯」という銭湯で風呂に入ることにした。先輩から「風呂の湯は熱いぞ」と念を押される。番台のお母さんにも「初めて?ここの湯が熱いからね」と伝えられた。

どんだけ熱いんだと身構えたが、入ってみるとそれほどでもなかった。

いや、確かに熱いのだが、耐えられないほどではない。

帰り際にも番台で「熱かったでしょ?」と聞かれて、笑って返す。旅人は、そういう会話がいちばん温かい。

楽天家、一刻、そしてスナックサンシャインへ

16時45分、風呂上がりに車で移動。17時から先輩とししと一緒に居酒屋「楽天家」で飲み始めた。

ここで「こづゆの汁でたこ焼き」という謎の話が飛び出した。大阪西成にある「会津屋」と会津若松の縁の話である。たこ焼きのルーツに会津が関係しているという説があるらしい。酒が進む。

場所を変えて「一刻(ひととき)」へ。宮司さんも参加して4人での飲み会となった。

21時45分、一刻を解散。21時54分、宮司と二人で「スナックサンシャイン」に流れ込んだ。

ここで帯広畜産大学の先生の話や、帯広の「美珍棲」という中華料理店の話が飛び出した。会津若松で帯広の話を聞くとは思わなかった。世間は狭い。

会津若松、それぞれの夜

24時30分、神社に戻った。先輩は境内で寝ているという。ししは一人でバーに飲みに行った様子だ。それぞれの夜である。

私はテントで寝た。熱い湯と熱い酒の一日だった。

ほな、また明日!

今回訪問したところ

道の駅マリンドリーム能生

日本海に面した能生漁港に隣接する海鮮市場。日本一のベニズワイガニ直売所「かにや横丁」で有名。

道の駅良寛の里わしま

良寛と貞心尼ゆかりの地にある道の駅。ガンジー牛のソフトクリームが人気で、築180年の古民家「もてなし家」で郷土料理が楽しめる。

道の駅みかわ(阿賀町)

阿賀野川上流の山間部にある道の駅。現在は建物老朽化により休止中だが、駐車場とトイレは利用可能。

道の駅にしあいづ

愛称「よりっせ」で親しまれる道の駅。車中泊に対応したRVパークも併設し、会津若松への玄関口として利用される。

飯盛山・さざえ堂

白虎隊ゆかりの飯盛山にある国指定重要文化財。世界唯一の二重螺旋構造を持つ木造建築「円通三匝堂」として知られる。

居酒屋楽天家

昭和62年開店の老舗居酒屋。会津の串焼きと地酒にこだわり、おたねにんじんのかき揚げが名物。

居酒屋ひととき(一刻)

会津若松市宮町にある地元の居酒屋。人気店「鳥益」の隣に位置し、毎週日曜日定休で営業。

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