【本州縦断の旅#2-2】白えびと清流と、58歳の川下り顛末記(富山・魚津)

片貝山ノ守キャンプ場で車中泊の準備をする黒いハイゼットカーゴ。テーブルやチェア、コットを並べた静かな森のキャンプサイトの風景。

道の駅河野〜近江町市場〜倶利伽羅塾〜道の駅メルヘンおやべ〜きときと食堂〜道の駅ウェーブパークなめりかわ〜魚津水族館〜片貝山ノ守キャンプ場


2025年夏の本州縦断の旅(Part2)
2日日:2025/08/19
運転時間:約5時間30分 走行距離:約210km

目次

夜明け前のハンドルと、謎の人間国宝

道の駅河野で仮眠したあと、まだ暗闇が半分残ってる4時15分に出発した。眠い。とにかく眠い。ガソリンを5000円分入れて、友人のししに運転を交代する。

福井県熊坂で気温23度。涼しいというよりちょっと寒い。山の際が朝焼けでオレンジ色に染まっていて、なんだか映画みたいだなと思った。そういう感傷的なことを考えるぐらいには眠かった。

8号線をひたすら直進していると、突然「人間国宝 九谷満月 陶芸体験」という大きな看板が現れた。人間国宝ってそんなにデカデカと看板出すもんなのか。有名人なのか。それとも俺が知らないだけなのか。とりあえず寝ぼけ眼で通り過ぎた。

金沢の朝はおでんで始まる

金沢・近江町市場の「市場屋」本店外観。巨大なカニのオブジェと能登牛炙り丼の看板が目を引く海鮮食堂。
金沢・近江町市場の人気店「市場屋」。朝から観光客で賑わう海鮮丼と能登牛炙り丼の名店。
金沢・近江町市場の「市場屋」で提供されたミニおでんセット。大根、なると、ちくわ、つくねが上品に盛られ、味噌汁とお茶が添えられている。
朝の金沢で味わった市場屋のミニおでんセット。やさしい出汁の香りに、旅の始まりを感じた瞬間。

7時に近江町市場の周辺駐車場に車を停めて、市場屋というところでミニおでんセットを食べた。2人で2100円。朝からおでん。悪くない。というか、朝のおでんは出汁が体に沁みてうまい。なんでみんな朝からおでんを食べないんだろう。

7時40分、名残惜しいけど駐車場を出る。金沢、またな。

火牛の計と、Wi-Fi速度の確認

8時25分、道の駅倶利伽羅塾に到着。

ここは平安時代末期に源義仲が平家軍と戦った「倶利伽羅峠の戦い」の舞台だ。義仲が使ったとされる「火牛の計」。牛の角に松明をくくりつけて敵陣に突っ込ませるというやつだ。今考えても豪快すぎる作戦である。

倶利伽羅峠の戦いを描いた屏風絵「火牛の計の様子」。炎をまとった牛が坂を駆け下り、平家軍に突撃する場面が生き生きと描かれている。
源平倶利伽羅合戦図屏風より「火牛の計」。炎をまとった牛が戦況を一変させた、伝説の奇策が語り継がれている。

売店ラウンジでWi-Fiの速度を測ってみた。下り55Mbps、上り17Mbps。まあまあだ。義仲もここでWi-Fi使えたら、もっと戦略練れたかもしれないな、と思うわけもなく移動。

【道の駅 倶利伽羅 源平の郷】の詳細がこちら▼

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玉ねぎ詰め放題の誘惑

9時5分、富山県に入る。9時10分、道の駅メルヘンおやべ。ここはとにかく野菜が安い。玉ねぎが安い、しいたけが安い、みんな安い。そして玉ねぎ詰め放題というのがあった。

やりたい。めちゃくちゃやりたい。でも旅の途中で玉ねぎを大量に買ってどうすんねん。車の中が玉ねぎだらけになる。

「無謀やな…(笑)」と自分にツッコミを入れながら、9時25分に道の駅を出た。玉ねぎよ、さらば。

道の駅メルヘンおやべの詳細がこちら▼

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白えび丼という名の幸福

10時10分、きときと食堂に到着。富山といえば白えび。迷わず白えび丼の大盛を注文した。ししは刺身定食。

きときと食堂の白えび丼定食。赤い丼に盛られた白米の上に、透明感のある白えびがたっぷりと敷き詰められ、中央にオレンジ色のイクラと緑の大葉が添えられている。味噌汁、たくあん、醤油が付いた黒いお盆に載せられている。
きときと食堂の白えび丼。富山湾の宝石と呼ばれる白えびが、透明に輝く。イクラの赤、大葉の緑、そして白えびの透明感。

運ばれてきた白えび丼を見て、思わず息を呑んだ。透明感のある白えびがキラキラ光っている。一口食べる。うまい。ぷりっとした食感と甘み、そして軽やかな塩気。ししも刺身を頬張りながら無言で頷いている。

これは幸福だ。白えび丼は幸福の丼だ。

きときと食堂の白えび丼のエッセイがこちら▼

イキタイ!旅人の百科メディア
富山で念願の白えび丼!きときと食堂で味わう海の宝石 | イキタイ!旅人の百科メディア 富山といえば名物・白えび丼。旅の途中、刺身定食と揺れる心を押さえて選んだ一杯の味は?イキタイ!が綴る富山の食と旅のよもやま話。

橋を撮る男たちの儀式

10時42分、新湊大橋を撮影。海風の中に立つ巨大な構造物。朝の光を受けて白く輝く姿が美しい。

11時15分、常願寺大橋でも撮影。早月橋も撮影。橋を撮るという行為は、どこか人の記憶を繋ぐ儀式のようでもある。

川と風と音と光が交錯する一瞬を、カメラに収めた。

橋を撮る。ただひたすら橋を撮る。橋を撮影することで、何かが記録される。何が記録されるのかはよくわからないが、とにかく橋を撮る。撮影は怠らない。

道の駅ウェーブパークなめりかわで休憩。屋上から海を眺めてストレッチ。

道の駅ウェーブパークなめりかわの詳細がここ▼

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110年の水族館と、コワーキング魚津

魚津水族館に到着。日本で一番古い水族館らしい。110年の歴史。すごい。明治時代からあるのか。

魚津水族館の水中トンネルで、アクリルガラスに張り付いたエイの腹側。白い体に口と鰓孔が見え、背景には他の魚たちが泳ぐ青い水中の世界が広がる。
エイがガラスに張り付いた。目の前に広がるエイの腹側。これが「顔」なのか。なんだか笑っているようにも見える。

中に入ると、トンネルがあったり、すしネタの説明があったり、歴史を感じさせる展示物があったりして、なかなか楽しい。家族連れだけかと思ったら、学生のグループも多い。みんな楽しそうだ。避暑を兼ねて水族館。これは正解だった。

魚津水族館の水中トンネル。アーチ型のアクリルガラスの中を歩く通路で、左右と天井を魚たちが泳ぐ。天井からは太陽の光が水面を通して差し込み、青い海の中を歩いているような感覚になる。
魚津水族館の水中トンネル。頭上をエイやブリが泳ぎ、太陽の光が水面から降り注ぐ。110年の歴史を持つ日本最古の水族館で、海の中を歩く。

13時に水族館を出て、無料休憩所でノマドワーク。フリーWi-Fi、電源あり。子育てコワーキングスペースまである。子供が遊ぶスペースの横で仕事や勉強ができる。魚津は子育て世代にも力を入れているらしい。素晴らしい。魚津、恐るべし。

魚津水族館のエッセイがこちら▼

イキタイ!旅人の百科メディア
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58歳、川へ飛び込む

14時、バローというスーパーで買い物。6900円。結構買った。旅先の食材を選ぶ時間もまた楽しい。

スーパー・バローの鮮魚コーナーに並ぶ新鮮なツバス(ブリの若魚)。氷の上で光る魚がずらりと並び、地元の海の恵みを感じさせる光景。
富山のスーパー・バローにて。

15時10分、片貝山ノ守キャンプ場に到着。

片貝山ノ守キャンプ場の広々とした芝生サイトに停められた黒いハイゼットカーゴ。背景には山々と木々が連なり、静かな夏の午後の空気が漂う。
片貝山ノ守キャンプ場の全景。山あいの緑に囲まれたサイトで、黒のハイゼットカーゴが静かにたたずむ。

先に家族連れが川で遊んでいたので、「どうやって入ったんですか?」と聞いたら、「あっちです」と指をさされた。

その方向を見ると、険しい石垣。58歳には厳しい。でもまあ、なんとかなるだろう。なんとかかんとかして下に降りて、川に入った。

片貝山ノ守キャンプ場のそばを流れる清流。透明度の高い水が白い岩の間を流れ、周囲の緑が映り込む静かな山あいの川の風景。
片貝山ノ守キャンプ場の清流。足をつけるだけで全身が目覚めるような、冷たく澄んだ山の水。

足をつけた瞬間。冷たい。冷たすぎる。でも気持ちいい。というか、暑さがぶっ飛んだ。身体全体を川の流れに身を任せる。これだ。これが旅だ。

アブとブヨとの夜宴

川あがり後は、バーベキューではなく、フライパンで調理したものをビールで乾杯。明太おにぎりを焼いたり、餃子を焼いたり、イカ墨の煮物をつついたり。サーモンの麹漬けもうまかった。ニシンの酢漬けもさっぱりしてて最高。

ただし、アブとブヨとの闘いは熾烈を極めた。刺される。また刺される。でも夜宴は続く。ビールがうまい。フライパン餃子がうまい。「SUZU霧島」で乾杯。夏の夜は長い。

ほな、また明日!

今回訪問したところ

道の駅河野

越前海岸沿いにある休憩スポット。日本海の眺めが美しい。

近江町市場(金沢市)

金沢の台所と呼ばれる老舗市場。海鮮やおでんが人気。

道の駅 倶利伽羅塾

義仲ゆかりの倶利伽羅峠にある道の駅。歴史資料も展示。

道の駅 メルヘンおやべ

農産物が安くて人気。地元野菜や惣菜の宝庫。

きときと食堂

富山湾の新鮮な白えび丼が評判の食堂。

新湊大橋

富山湾に架かる大橋。立山連峰を望む絶景スポット。

常願寺大橋

立山の雪解け水が流れる常願寺川に架かる橋。

道の駅 ウェーブパークなめりかわ

ホタルイカミュージアムが併設された人気スポット。

魚津水族館

日本最古の水族館。レトロな展示と海の生き物が魅力。

片貝山ノ守キャンプ場

清流が流れる静かな山間のキャンプ場。川遊びが人気。

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