
釧路の台所として親しまれる和商市場。その名物「勝手丼」で、まさかのマーケティング心理学を学ぶことになるとは思わなかった。
地下駐車場から
地下駐車場から始まる観光客への配慮
11時半、釧路和商市場に到着。地下駐車場が2時間無料というのは、車移動が基本の北海道観光では実にありがたい配慮だ。
釧路駅では JR釧路支社5周年記念の「北・大地のうねり」彫刻を撮影。




しかし駅前の6階建て「SENSHOKAN BLD」が売りに出されているのを見ると、地方都市の現実も垣間見える。栄枯盛衰は世の常とはいえ、ちょっと切ない気分になる。


現在は売り物件となっており、時代の移ろいを静かに物語っている。
牡蠣で腹ごしらえ、その美味さに感動


市場に足を踏み入れると、平日にも関わらず観光客の姿がちらほら。やはり「勝手丼」の知名度は侮れない。


12時に奥さんと合流し、まずは腹ごしらえ。牡蠣酢と牡蠣のチーズ焼き(各800円)を注文した。


牡蠣酢は、ぷりぷりの牡蠣に程よい酸味が効いて、海の旨味がダイレクトに味わえる。一口食べると、釧路の海の豊かさを実感する。


牡蠣のチーズ焼きは、牡蠣の濃厚な味わいにチーズのコクが絡み合って、これはもうビールが欲しくなる味だ。朝から飲んでも許される場所、それが市場の特権である。


勝手丼に隠された色彩心理学
ここからが本題だ。先に勝手丼を注文していた奥さんから、興味深い話を聞いた。
「刺身の値札で北海道産だけが黄色いのよ」
なるほど、値札の色分けか。他県産は白い値札、北海道産は目立つ黄色。これは完全にマーケティングの心理学を応用した戦略である。
黄色は注意を引く色として知られており、無意識のうちに手が伸びてしまう。結果として奥さんも、気がつくと北海道産ばかりを選んでいたという。


巧妙すぎる「選択の誘導」




これはもう、マーケティングの教科書に載せてもいいレベルの巧妙さだ。観光客は「せっかく北海道に来たのだから」という心理と、黄色い値札の視覚的インパクトで、自然と北海道産を選んでしまう。まさに術中にハマっている状態である。
しかし、これは悪質な手法ではない。むしろ地元の新鮮な海産物を観光客に味わってもらいたいという、市場の心意気の表れとも言える。品質に自信があるからこそ、こうした工夫で地元産をアピールしているのだろう。
観光客としても、せっかく釧路まで来たのなら地元の味を楽しみたい。そんな気持ちと商売人の工夫が見事にマッチした、Win-Winの関係と言えるかもしれない。
勝手丼の醍醐味は「選ぶ楽しさ」


勝手丼の魅力は、単に美味しい海鮮丼が食べられることだけではない。自分で具材を選ぶ楽しさ、あれこれ迷う時間、そして「今日はちょっと奮発しちゃおうかな」という気分の高揚感。これら全てがセットになって、特別な体験を提供している。
黄色い値札戦略も、その体験の一部として機能しているのだ。観光客は「地元の新鮮な海鮮を選んだ」という満足感を得られ、市場側は地元産の売上向上を実現する。
地方市場の生き残り戦略
考えてみれば、地方の市場が観光客を惹きつけるには、こうした細やかな工夫が欠かせない。大型チェーン店にはない、人情と工夫に満ちた商売の仕方。それが和商市場の魅力なのかもしれない。
黄色い値札一つとっても、そこには市場の人たちの「美味しい地元の味を食べてもらいたい」という思いが込められている。そう考えると、まんまとマーケティング戦略にハマったことも、悪い気はしない。
むしろ、こういう粋な計らいがあるからこそ、旅の記憶に残るのだろう。単に食事をするだけでなく、その土地ならではの体験を得られる。それが旅の醍醐味というものだ。
基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
店名 | 釧路和商市場 |
住所 | 北海道釧路市黒金町13丁目25 |
営業時間 | 8:00-17:00(店舗により異なる) |
定休日 | 日曜日(但し1月、5月、9月の第2日曜は営業) |
駐車場 | 地下駐車場あり(2時間無料) |
アクセス | JR釧路駅から徒歩約3分 |
名物 | 勝手丼(自分で具材を選ぶ海鮮丼) |
おすすめメニュー | 牡蠣酢・牡蠣のチーズ焼き(各800円) |
特徴 | 北海道産の値札が黄色で識別しやすい |
観光ポイント | 釧路の台所として地元の新鮮な海鮮が楽しめる |
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