7時45分、まだ人影の少ない知床自然センターに到着。開館は8時、入口の前で深呼吸をひとつ。
すでに3組ほどがレンタルシューズを手に、フレペの滝遊歩道へ向かっていった。昨日はヒグマの目撃があったらしく、館内ではまるで天気予報のように「ヒグマ出没カレンダー」が掲示されている。知床ではこれも日常の風景らしい。

8時半からは、館内シアター「メガスクリーン キネトコ」で上映される映画『知床の冒険』を鑑賞(通常650円、JAF会員550円)。高さ12m・幅20mの大画面いっぱいに広がる知床の四季は圧巻だ。映像を通して、人間と自然の距離感、そして守るべきものの大きさを改めて考えさせられる。

上映後、知床の自然保護活動「ノノオト」の展示に足を止める。代表は1991年生まれという若さで、すでに全国から億単位の寄付を集めているという。知床の自然を未来へ残すための情熱と行動力に、静かに胸を打たれた。
ノノオト ― 野の音がつなぐ生命
風が木々を抜ける音、ヒグマの足音、海の生き物の吐息。
すべての命は、音を残して生きている――そんな声なき声を拾い、未来へつなぐ活動。

ノノオトの詳細はこちら

9時10分、センターを後にし、次の目的地へ。
知床自然センターとは

知床自然センターは、世界自然遺産・知床国立公園の入口に位置するビジターセンターで、1988年に設立された知床財団が運営している。
1977年に始まった「しれとこ100平方メートル運動」をはじめ、知床の自然保護活動の拠点として歴史を刻んできた。2005年の世界自然遺産登録時にも重要な役割を担い、2016年には「フィールドを知り、楽しむための国際ビジターセンター」として大規模リニューアルを行った。
主な施設・サービス
- シアター:「メガスクリーン キネトコ」で四季や野生動物をテーマにした映像を上映
- ショップ&カフェ:THE NORTH FACE / HELLY HANSEN知床店、BARISTARET COFFEE SHIRETOKO
- 散策路の起点:フレペの滝遊歩道(往復2km)、開拓小屋コース(往復5km)
- 情報提供:ヒグマ出没カレンダー、旬の自然情報を提供するレクチャーコーナー
- Wi-Fi完備:観光前の情報収集に便利
基本情報
項目 | 詳細 |
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正式名称 | 知床自然センター(Shiretoko National Park Nature Center) |
所在地 | 北海道斜里郡斜里町大字遠音別村字岩宇別531 |
運営 | 公益財団法人知床財団 |
開館時間 | 夏期 8:00~17:30/冬期 9:00~16:00 |
休館日 | 年末年始、12月の毎週水曜日 |
駐車場 | 乗用車182台、大型バス5台(無料) |
入場料 | 無料(映像上映は500円~) |
アクセス | JR知床斜里駅からバスで約1時間10分、ウトロ市街地から車で約10分 |
旅メモ
単なる観光案内所ではなく、知床の「守る現場」に直結している場所。
映像で感動して、そのまま募金箱にコインを落とす――そんな流れが自然にできる拠点だった。